「看取りを覚悟で」ガリガリ、ボロボロで保護された生粋の野良猫 最期に温かな「おうち」に出会った

■ボロボロの野良猫

ごんちゃんは、2016年8月の夜、とある住宅地に佇んでいるところをボランティアが発見。体はガリガリで、毛並みも薄汚れていた。

「よく生き延びてこられたなと思うほどボロボロで、じっと動かないので死んでしまうのではないかと思いました。」

生粋の野良猫。保護団体ねこけんのメンバーは捕獲器をしかけたが、長期戦を覚悟した。

「ところがあっさり捕獲器に入ってくれて、みんな拍子抜けしてしまいました。安堵すると同時に笑ったのを覚えています。」

■してあげられることがあるのは幸せ

ただ、このごんちゃん、保護してからお風呂に入れてもなぜか汚いまま。トイレも決められた場所でできず、尿にまみれてしまった。

「最初は人懐っこいのかなと思ったのですが、すぐに豹変。ガオーっと牙をむいてきました。なんといっても、保護部屋に来てから5ヶ月にもなるのになぜか汚い感じが抜けませんでした。」

それでも、根気良く世話を続けていたら、「ごはんください」とか「食べました」とコミュニケーションできるようになったごんちゃん。歯を悪くして入院してから、トイレもできるようになった。ただ、ねこけんが看取り覚悟で保護した猫だった。

「私たちの看取り覚悟とは、単に譲渡会に出さないということではなく、この先、どのような病気になろうと、どのような状態になろうと、人に慣れようと慣れまいと、朝晩のお世話や医療ケアを欠かさず、時間も経費も労力も惜しまず、愛情を惜しまず、最後のお別れまで全てを受け入れるということです。」

ねこけんで2年の月日を過ごしたごんちゃん。メンバーのNさんに蒸しタオルでくるんでもらうのが大好きで、気持ちよすぎて、「はぁうう」と息をしてうとうとしていた。しかし、保護当時既に高齢だったごんちゃんの身体はボロボロになっていた。

「老化だけではなく、腎臓が悪くなって尿毒症になり、肝臓の状態も悪化。肝臓はやや持ち直したが、貧血もあり、満身創痍の状態になっていました。」

ねこけんの代表は、「後悔はいつでもできるから、やってあげられることは、全部やってあげよう!」と言い、朝晩の点滴や、投薬、毎週の通院などなんでもした。さらに、代表は、「してあげられることがあるのは救いだ」と言った。

すっかり痩せて軽くなってしまったごんちゃん。スタッフは、「こんなに大きな存在なのに、君の身体はなんて軽いんだろう」とやるせない想いに駆られた。

「骨の上に皮がかぶっただけのような身体。抱き締めると腕に骨が当たります。オシッコで汚れた、ゴツゴツとした身体を拭くたびに、骨が折れちゃうんじゃないかと心配になりました。」

オシッコで汚れた身体を拭くたびに、「ほあぁ~」と気持ち良さそうにお礼を言ってくれたゴンちゃん。晩年はすっかり痩せ衰えてしまったが、その命の重さはスタッフの心に深く刻まれている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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