高齢飼い主が孤独死 ダックスフンドなど17匹が残された 安心できる環境で第二の犬生を目指してます
2024年初め、愛知県内のとある住宅で高齢者が孤独死しました。この家にはダックスフンドなど17匹のワンコがいました。地元の保護団体が協力し、手分けして保護。SORA小さな命を救う会(以下、SORA)は7匹を保護することにしました。
■幸いどのワンコにも重篤な持病などはなかった
多頭飼育崩壊となっていた環境のワンコたちは悪臭を放っていました。
SORAでの保護に先駆け、ワンコのトレーニングやトリミングサロンなどを行う別の団体が綺麗にトリミングしてくれていました。スタッフはこの気遣いに大いに感謝しました。
その後、保護した7匹は動物病院で念入りに検査をしてもらうことにしました。凄惨な環境にいたことで、重篤な持病がないか心配するスタッフでしたが、深刻な持病などはなく、しばらくの間、きちんとエサを与え衛生的な環境にいれば心身ともに元気を取り戻してくれるだろう、という診断でした。
■笑顔を取り戻し元気になったワンコたち
7匹は適切な世話を受けていなかったのか、散歩などのレベルは低いものの、性格良好で人懐っこいワンコばかりでした。
安心できる環境で過ごせるようになり、いち早く笑顔を見せてくれるようになったメスのリドルちゃんは当初は控えめだったものの、すぐに馴れました。預かりボランティアさんの姿を見つけると、ちょこちょことした足取りで自ら歩みよってくるようになりました。
また、メスのカルメンちゃんもリドルちゃんに負けない甘えん坊。預かりボランティアさんの体に自分の体をくっつけてきます。
とびきり元気なオスのボスくん。イケメンで無垢な瞳で見つめられると、なんでも許してあげたくなるような癒し系ワンコです。
感情表現豊かなオスのジャミルくん。多頭飼育崩壊現場にいた頃を想像させない、チョコレート色の毛並みが美しい、これまた人懐っこいワンコです。
■飼い主死亡で行き場を失うワンコたちは珍しくない
この他の3匹も里親さんとのマッチングに向けての準備段階ですが、スタッフは「7匹が保護できたことは本当に良かった」としながらも、同時に今回のようなケースは少なくないと、こんな話をしてくれました。
「高齢の飼い主さんが亡くなり、行き場を失った犬の保護は当会でも複数経験しており、他にもまだまだ多くの事例があると思います。高齢の飼い主による多頭飼育崩壊も少なくなく、劣悪な環境で過ごす犬猫もまた多くあると思います。こういった事態を防ぐためにも、当会では今回の事例のように団体間の垣根を超えたレスキューはもちろん、さらなる未来に向けた保護官民協同での取り組みも実施していきたいと考えています」
超高齢化社会の中で行き場を失うワンコが現れないよう、高齢者への飼育に関する啓蒙も今後より多く行われるべきでしょう。
(まいどなニュース特約・松田 義人)