女性杜氏が集合「乙女の日本酒ぷろもーしょん」 コロナ禍経て5年ぶりに復活 仕掛け人に聞いた
日本酒PRイベント「乙女の日本酒ぷろもーしょん2020+4 飲っちまいな!」が5月12日、読売新聞大阪本社のギャラリーよみうりで開催された。
同イベントは東日本大震災の復興支援のため、日本酒バー杜氏屋(大阪市北区)店主で作家の中野恵利さんの呼びかけで2011年に発足。女性杜氏の酒蔵を中心とした日本酒イベントとして毎年開催され注目を集めたが、コロナ禍により2020年以降は中断。今回5年ぶりに復活した。
音楽ライブや女性杜氏らのトークショーがにぎやかに催される中、大勢の来場者が12蔵の持参した銘酒に舌鼓を打つ。終了までの3時間半にわたり飲めや歌えやの宴が続く様子からは、社会のコロナからの復活をあらためて感じさせられた。中野さんに話を聞いた。
ーー5年ぶりの開催いかがでしたか?
中野:5年という歳月は、乙女ぷろに高齢化という現実を突きつけました(笑)。当イベントは準備からグッズ製作に至るまで全て手作りなので主催側の負担が大きく、アラ還の私も開催1か月前から連日の2時間睡眠。気力も体力も衰え「もう以前のようには出来ない」と苛立ちをともなう辛い作業でした。支えていただいたボランティアスタッフのみなさん、大阪経済大学・上宮智之准教授と学生ボランティアのみなさんには感謝してもしきれません。
でも当日を迎え、女性酒造家たちと再会し、「待ってたよ~!」と口々に叫ぶお客様をお迎えすると、そんな気持ちはどこへやら。MCとしてマイクを握り、それぞれに付けたキャッチコピーに乗せて女性酒造家たちをステージに呼び込んでいると、コロナ禍を乗り越え、リアルな夢の世界に戻ってこれた幸福感に満たされました。
ーー今回のコンセプトは?
中野:今回のメンバーはコロナで断念し、幻の回となった2020年のままなんです。私は日本酒バイヤーとしてまだ無名の新人酒造家、無名の日本酒を発掘し、紹介するのがライフワーク。2020年の回では「越生梅林」醸造元・佐藤酒造店の佐藤麻里子杜氏に大阪デビューを果たしていただこうと目論んでいました。その時は残念ながら果たせませんでしたが、今回さらにアップグレードして参加してくれたことは、うれしい出来事のひとつでした。女性杜氏たちがさまざまな困難を乗り越え、いかに素晴らしい日本酒を生み出しているか、来場者のみなさんにもよく感じていただけたと思います。
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参加した澤田酒造(愛知県常滑市)蔵元の澤田薫さんにもイベント参加の感想を聞いた。
「恵利さんの書かれる文章は、その土地や酒蔵を見たことなくてもまぶたに浮かび上がらせ、えも言えない余韻を心に残すそんな魔法の言葉です。乙女の日本酒ぷろもーしょんはそんな中野さんが手がけたとにかくカッコいいイベントで、私は有難いことに2011年の発足時から、お腹に子供がいる時も育児中もずっと参加させていただいています。久々に大勢の来場者、スタッフ、蔵元のみなさんに囲まれ、元気をもらって帰ることができました」
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「乙女の日本酒ぷろもーしょん」はすでに来年の開催地を選定中とのこと。中野さんと女性杜氏たちの思いの詰まったこの日本酒イベントが今後も長く継続されるよう願いたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)