ピザ配達員から“ストーカー”被害の女性、店や本社に対応求めるも「彼にも言い分がある」と取り合わず→その後の対応は
サバゲー(サバイバルゲーム)のインフルエンサーとして活動する「りりあんぬ葵」さんが24日までに、Xを更新。宅配ピザチェーンの男性配達員から個人的に電話がかかってくる、といったトラブルがあったと報告した。店舗や本社に被害を訴えるも、当初は「当人同士で話し合ってください」「彼にも言い分がある」などと取り合ってもらえなかったという。その後、配達員は解雇された。詳しい経過についてりりあんぬさんや店側に聞いた。
■見知らぬ番号から着信
りりあんぬさんは5月上旬に長野県内で開かれたイベントに参加した際、会場で友人らとシェアするため、近くの宅配ピザチェーン「ピザ・カリフォルニア」を利用した。
若い男性の配達員からピザを受け取った数分後、スマホに着信があった。電話に出ると「さっき配達したものですが、りりあんぬ葵さんですよね?」「最初(イベントの)スタッフと勘違いしちゃってました」と、笑いながら話をされたという。
自分のことを知っている人だったことに驚きつつ「あれ、これ個人の電話だよね?」「これってやっていいことなの?怖い」といった感情を抱いたりりあんぬさん。当たり障りのない返答をしてひとまず電話を切った。
■店側は当初「彼にも言い分がある」
さらに翌日の夜。りりあんぬさんのスマートフォンに〈電話番号で友だち追加されました〉というLINEの通知が表示された。知らないアカウントから、電話番号での検索機能を経由して「友だち」に追加されていたのだ。まさかと思い配達員からかかってきた際の電話番号で検索をかけたところ、アカウントが一致した。
ストーキングにもつながりかねない事態にさすがに身の危険を感じ、友人にも相談してピザ・カリフォルニア本社(運営会社)に問い合わせをした。しかし「当事者同士で話し合ってください」といった返答で、取り合ってもらえなかったという。
続いて店舗の方に連絡したものの、店長の対応は本社と変わらないものだった。「真剣に謝る感じではなく『彼にも言い分がある』『今後何か必要があったときに連絡を取れるようにしただけ』と、配達員を擁護していました」とりりあんぬさん。「本社も店舗も本人も、ことの重大さを全くもって分かっていないと思いました」と振り返る。自身のXでこの出来事について投稿すると反響があり、多くの人から怒りや同情の声が寄せられた。
このまま泣き寝入りかと思われた数日後。店舗を管轄するフランチャイズオーナーから謝罪の連絡があり、配達員を解雇したと伝えられた。りりあんぬさんの電話番号を店長ら立ち会いのもと削除させたり、労働契約書の個人情報漏えいに関する罰則を「禁止」から「即解雇」に変更したり、といった対応をとったことも報告された。
りりあんぬさんは「似たようなことは他にも世の中で起きているのでは、私と同じような思いをして我慢している人がいるかも、と思いXで発信しました」と話す。今回受けた当初の対応については「不信感が拭いきれない」とし「今後のためにも配達員個人の問題ではなく、会社のガバナンスの問題としてしっかり向き合ってほしい」と話している。
■取材に対しフランチャイズオーナーは…
今回の件について、フランチャイズオーナーの男性が取材に応じ、一連のトラブルは事実だと認めた。解雇された配達員はアルバイトだったという。
「彼にも言い分がある」などとした最初の対応は店長の判断によるもので、数日後にオーナーが報告を受けて即刻、配達員の解雇を決めたという。 「状況から考えて当初の対応はあまりにも軽く適切ではなかった」とし、店長らに厳重注意したという。
トラブルを起こした配達員は「こんなおおごとになるとは」といった反応だったそうで「事件にもなり得るような大変なことだ」と厳しく叱責したというオーナー。「業務でしか扱ってはいけない情報を個人的に使うなど言語道断。ご本人(りりあんぬさん)には嫌な思いをさせてしまい、大変申し訳ありません」と謝罪した。
一方、まいどなニュース編集部は、当初苦情に対応しなかったとされる件について確認しようとピザ・カルフォルニア本社にも取材を申し込んだ。指定のメールアドレスに質問を送付してほしいと案内があり、事案に対する会社としての受け止めなどを尋ねたが、2週間以上が経過しても返答がなく担当者とは電話でも連絡がつかなくなった。
(まいどなニュース・小森 有喜)