中古で購入したマンション、忘れていた「トランクルーム」の存在 足を踏み入れてみると…恐怖! 困った「残置物」問題
中古のマンションや一戸建て情報をチェックしていると小さな字で「現況優先(げんきょうゆうせん)」の文字が気になったことはありませんか?
間取り図や、外観・室内の写真などで候補となる物件をチェックするわけですが、そこに掲載されている状態と引き渡しされる物件の状態は必ずしも一致しません。そのなかでも「細かいことだけれども意外とあるある」なのが「引き渡しのときに前の持ち主が持って行く・片づけていくと思い込んでいたものが残っている!」という残置物(ざんちぶつ)」トラブルです。
■古い箪笥や鏡台、食器棚「大切にしてください」
Aさん(関東在住、50代、会社員)夫婦は、お互い50代で初婚同士のDINKSカップル。戸建ての生活にあこがれはあったものの、これからのローン年数を考慮して中古の一戸建てに絞って家探しをされたそうです。そこで見つけたのが、老夫婦が施設に入居するのをきっかけに手放すことにしたという戸建てです。築40年と古いものの、大手ハウスメーカーが建築。リフォームもきちんとされていたことから、購入を決めました。
元の持ち主の「愛着のある家を『そのまま住んでくださる方』にお譲りしたい」という言葉に、「こんなにしっかりとメンテナンスされてきた家なら安心」と喜んでいたのですが…。
契約後、施設の入居日の関係でさらに1カ月ほど時間がかかったものの、特に心配することもなく引き渡し日を迎えたAさん夫婦。しかし家の中に入ってビックリしたのは「大型の家具がたくさん残されていること」でした。
いかにも昭和な婚礼ダンスや鏡台、ダイニングルームに置かれた「水屋」という雰囲気の食器棚…。撤去どころか、家の中で模様替えするにも、プロの引っ越し業者さんの手を借りないと太刀打ちできないような「重量感のある家具」がたくさん残されていたのです。
あわてて不動産会社を通じて前の持ち主に連絡をとってもらうと「残した家具はほとんど家を建てるときに大工さんに造り付けてもらったもの。とても良い品です。大切にしてくださいね」とのこと…。
善意で残されたものだけに、廃棄していいものか悩んだAさん。現在は奥様の好きな「カントリー調家具」とのアンバランスさに囲まれた生活を続けられているそうです。
■大きな庭石や灯篭、いらないから撤去してほしいのだけど…
Bさん(関西在住、40代、主婦)一家は中古戸建の売買で「残置物」に対して意見が合わず、気に入った物件の購入ができなかった経験があります。
家の建坪と同じ広さの庭がある広い敷地の一戸建てにも関わらず、坪単価が相場よりも安めに設定されている物件を発見。さっそく見学したところ、立地や日当たり、家そのものの状態や設備も申し分なく、「即日手付金を支払ってもよい」と思える物件だったそうです。
ただ、家はいわゆる現代的な大手ハウスメーカーらしいデザインなのに、思っていたよりも庭が本格的な日本庭園。どちらかというとイングリッシュガーデンが好みのBさんは「庭木とか庭石、あと灯篭みたいなものは、引き渡し前に処分してもらえますか」と家主に聞いてもらうことに。
しかし、それを不動産屋さんから聞いた家主さんは「あの庭のよさを感じてもらえない人には売りたくない」と激怒。結果として、話はストップしてしまいました。
「今から思うと、何も聞かずに買ってから処分しちゃえばよかったんですよね。いい物件だったのに、余計な事聞きました…」とBさん。前もって「撤去してほしい」とお願いするのも、良いことばかりではないのかもしれません。
■トランクルーム、荷物撤去されていませんけど??
Cさん(関東在住、30代、主婦)一家は同じ学区内での引っ越しを検討しており、学区内にあるいくつかのマンションに絞って「売却情報が出たら教えてください」といくつかの不動産屋さんに登録して人気マンションが購入できるタイミングを待っての購入でした。
見学時にはまだ入居中だったため、引渡し前確認では設備や建具に不具合がないか、しっかりと確認して何の問題もなく引き渡しが済んだ、と安心していたのですが…。
なんとまさかのチェック漏れがあったそうです。
それがマンションの地下に設置された各戸専用トランクルーム。「マンションにトランクルームがある」こと自体も、引き渡し後初めて気がついたそうで、説明書に記載されていた暗証番号キーで解錠してみたところ、塗装がはがれたスキー板や古ぼけたぬいぐるみ、古雑誌の束などのガラクタがぎっしり…。
慌てて前の持ち主に問い合わせを入れてもらうも「ご主人の海外赴任で移住されているので、処分に来てもらうのは難しいですね」とのこと。
すべて処分の許可はもらったものの、ゴミ捨てに何日もかかって大変だったそうです。メーターの中や駐輪場など、マンション設備のチェックも必要ですね。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)