昼休み後、職場にカップ麺のニオイ充満…「午後から働く気持ちが失せる」、何とかならない?【社労士が解説】
近年、セクハラやパワハラなど、人に対して嫌がらせやいじめなどの迷惑行為を意味する「ハラスメント」という言葉が広がりをみせています。ニオイに関して周囲の人に不快感を与える「スメルハラスメント(スメハラ)」のその一種です。
SNS上では「職場で昼休憩から戻った際に、同僚が食べていたカップラーメンやカレーライスなどのニオイを感じて辛い」「カップ麺とニオイの濃いものが職場で禁止されている」という声もあがっていて、ランチ時のニオイに困っている人は多いようです。
また、ロウエンデザイン株式会社が2023年3月に公表した、25歳以上50歳未満の会社員(正社員、契約・派遣社員)または公務員(教職員を除く)の男女を対象とした「職場で気になるニオイ」に関するアンケート調査では、5位に口臭がランクインしています。もしかしたらお昼の食事なども関係しているかもしれません。
ランチ時のニオイのトラブルに対して、どのような対処方法が考えられるのでしょうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに詳しく聞いてみました。
■お互いがランチの時間を気持ちよく過ごすために
ー同僚のランチのニオイに悩まされるような職場ではどのような改善策が考えられますか
この問題については、2つの視点が重要だと考えます。1つは周囲に迷惑をかけないように、同僚に対して思いやりを持てるよう社員に対して教育をおこなうことです。ニオイというのは個人の主観が関係してくるので、周囲は気にしていても、自分は気付けないということがあります。「スメルハラスメント」の研修を行って、どのようなニオイがハラスメントに当てはまるのかを知ってもらうのも重要です。
もう1つは、そのニオイが自分にとって苦手であると伝えられる関係性を作ることです。ニオイを出している人も、まさか苦手な人がいると思っていないかもしれません。なので頭ごなしに辞めてほしいと伝えるのではなく、苦手なので控えてほしいとお願いするのがいいでしょう。お互いがランチの時間を気持ちよく過ごすために、心地よい環境づくりができるといいですね。
ー職場によってはルールを作って禁止しているところもあるようです
ルールを作って罰則を設けることは難しいと考えます。先ほども述べたように、ニオイは主観が関係してくるので「これがダメなのに、なぜあれはいいのか」という新たな不満を生み出しかねません。あくまでもお願いベースで、ほかの物に変えてもらうように接した方がいいでしょう。
ー空気清浄機を置いたり、食事用の場所を作ってもらうことは可能なのでしょうか
会社側が職場での食事を許可するのであれば、空気清浄機を置くなどして環境を整えることを求めてもいいでしょう。ニオイの強弱に関わらず、食べ物のニオイが混在する中で働くのは避けたいですからね。費用をかけられない状況であれば、定期的に窓を開けて空気を入れ替えるようにしている会社もあります。
また、可能であれば会社に食事用のスペースを用意してもらうのも、ニオイ対策としても有効です。会社としてはランチの時間は休憩時間なので、業務から離れるという意味でもおすすめします。
個人の主観が大きくかかわるニオイの問題なので、特定の人が悪者にならないように配慮して、より良い職場環境づくりを目指して頂きたいです。
◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士 人脈ゼロから事業を成長させ200社以上の経営を支え、「社労士オタク」と称されるほど就業規則に熱中。大阪府茨木市を拠点に「良い職場環境作りの専門家」として活動。ラーメン愛好家としても知られ、「#ラーメン社労士」での投稿が人気。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)