タバコ休憩後、同僚のニオイがキツい! これって「スメハラ」ですよね…会社が何とかしないといけないのでは?【社労士が解説】
2018年7月に一部改正された健康増進法が、2020年4月1日より全面施行されて以来、職場でも禁煙措置がおこなわれたり、喫煙場所を特定したりと、「望まない受動喫煙」を防止する措置が加速されました。とはいえ、喫煙者に対して喫煙を完全に禁止することはできません。なかには、同じ職場で働く上司や同僚が喫煙から戻ってきた時のニオイに悩まされている人も多いでしょう。
実際に、ロウエンデザイン株式会社が2023年3月に公表した、25歳以上50歳未満の会社員(正社員、契約・派遣社員)または公務員(教職員を除く)の男女を対象とした「職場で気になるニオイ」に関するアンケートでは、体臭に次ぐ2位としてタバコのニオイがランクインしています。
もし職場に喫煙者がいて、そのニオイがキツくて辛い場合、どのように対処したらいいのでしょうか。社会保険労務士法人こころ社労士事務所の香川昌彦さんに詳しく聞いてみました。
■ハラスメントだと認定することは難しいが…
ータバコのニオイがキツイ場合、ニオイによるハラスメント「スメハラ」に当てはまるのでしょうか
そもそもハラスメントとは、身体的・精神的な攻撃によって他者を不愉快にさせることや、なにかしらの被害を与えることを意味します。例えば、吸ったタバコの煙を相手に吹きかけた場合、明確な攻撃にあたるためハラスメントと判断される可能性が高いです。
しかし、喫煙所でタバコを吸って帰ってきた人が、いくらタバコ臭かったからといっても、本人はそのニオイを気にしていないため、周囲に迷惑をかけているとは思っていないはずです。この場合は、ハラスメントだと認定することは難しいでしょう。
ーでは仕事場で近くの人がタバコ臭くて困っている場合、解決策はないのでしょうか
直接、相手に困っていることを伝えられるといいのですが、相手が上司だったり先輩だったりすると伝えられない気持ちも理解できます。そういう時は、会社が設置しているハラスメント対策の相談窓口に連絡してみてはいかがでしょうか。この相談窓口は2022年4月1日から中小企業でも設置が義務化されています。もし相談窓口が設置されていない場合は、人事に相談してみるのも手段のひとつでしょう。タバコのニオイがハラスメントにあたらないとしても、相談することで何か対策をしてくれる可能性はあります。
例えば、職場に空気清浄機を設置したり、消臭剤を置いてくれるかもしれません。その他にも、より良い職場環境を作っていくための研修を開催してくれたケースもあります。
ー手軽にできる対策は何か考えられますか
仮に会社に相談したとしても、対策が実行されるまで時間がかかってしまうこともあります。そこで私がおすすめしているのがドライヤーの設置です。喫煙所から帰ってきた人は、ドライヤーで風を浴びてから入室するというルールを職場で作れば、ニオイの軽減につながるでしょう。ドライヤーの設置は一例ですが、自分たちで良い職場環境を作れるように協力し合えるといいですね。
◆香川昌彦(かがわ・まさひこ)社会保険労務士 大阪府茨木市を拠点に「良い職場環境作りの専門家」として活動。ラーメン愛好家としても知られ、「#ラーメン社労士」での投稿が人気。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)