後ろ脚の先を失い、パンの耳だけを食べて生きてきた茶トラ 「もう怖くないよ」ご飯と温かい毛布、優しい声に次第に心を開く

■パンの耳だけもらっていた猫

ガブくんは、愛媛県で保護されて愛護団体NPO法人ねこけんにやってきた。保護の経緯は分からないが、それまではごはんをもらえずパンの耳ばかり食べていたという。虐待されたのか動物に襲われたのか、理由は分からないが後脚の足先がない。

人馴れしていると聞いていたので、代表がサッとキャリーの中に手を入れてケージへ移そうとしたら、手をガブリ!ガブガブガブと10数回噛んだという。もちろんそれだけでは収まらず、食器を下げようとしたスタッフの手もガブガブ、連日手でパンチを繰り出してきた。もちろん、仮の名前はガブになった。

「メンバーが皆で優しく話しかけたり、ちゅ~るを差し出したり、安心できるようにケージを布で覆ったりして、やっと怖がらずに過ごしてくれるようになりました。こういう子はガブだけではありません。私たちは『ここは怖くない』と分かってもらえるように、ごはんをいっぱい食べて毛布の上で眠れるようにしています。」

■譲渡会デビューのために修行中

ガブくんは怖がりというだけではなく、キャットフードもなかなか食べなかった。今まで食べられるものといえばパンの耳だけだったので仕方がない。ドライフードの上に嗜好性の高いおやつを置くとなんとか少しだけ食べられるようになったという。

最初は警戒心マックスだったガブくん。それでも少しずつ心を開いてくれて、優しい表情に変わってきた。メンバーのEさんがじゃらしを持って遊びに誘うと、ケージの奥から手を出してきてチョイチョイと。

「さすがのガブもEさんのジャラシテクには降参したようです(笑)」

まだまだ遠慮がちに遊ぶガブくん。譲渡会デビューのための修行が続いている。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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