ぎこちなく歩いていた子犬が秘めた強い母性 足のハンデ乗り越えピッタリの家族に迎えられた
2023年6月、野犬から産まれたとおぼしき生後2、3カ月ほどのメスの子犬が愛知県内をヨチヨチと歩いていました。地元の行政がこの子犬を保護したところ、後ろの右足の足先が欠損しており、ぎこちなく歩いていた理由がわかりました。
後に子犬は、静岡県内の保護団体・アニマルフォスターペアレンツ(以下、アニマルフォスター)が引き取り、世話をしながら「ずっとのお家」を探すことになりました。
■いつも不安げな表情を浮かべていた
子犬につけた名前は「美月」。保護当日は不安げな表情で「まさか私に怖いこととかしないよね?」スタッフを見つめていました。「大丈夫。怖いことなんかないし、私たちは美月の味方だから安心してね。楽しく過ごして大丈夫だからね」と声をかけましたが、当の美月は以降も常にビクビクしながら過ごしていました。
■強い母性からか後から来た子犬を思いやる優しさも
美月が保護施設で成長するにつれ意外な一面も見せてくれるようになりました。他のワンコとの協調性は抜群で、特に後からやってきた子犬を、誰が教えたわけでもないのに、強い母性からか自らかわいがっているのです。
元野犬の多くは人間とのコミュニケーションが苦手な一方、他のワンコとは仲良く過ごすものですが、美月もまた元野犬らしいワンコでした。
足が不自由であることから親父座りになってしまう美月ですが、問題と言えばこれくらい。確かに人間は不慣れですが、この性格の良さなら幸せをつかむ日もそう遠くはないだろうと思うスタッフでした。
■「ずっとのお家」で笑顔の日々を過ごすようになった
できれば先住犬のいる家庭と縁があると良いなとスタッフは考えていました。
保護から約5カ月ほどが経過した頃、「迎え入れたい」という里親希望者さんの申し出がありました。静岡県袋井市のNさんという家族で、美月と同じ背丈の先住犬がいるとのこと。美月にとってこの上なく恵まれた環境で、一定期間のトライアルを経てNさんの家族になることができました。
Nさんの家に迎え入れられることになった美月は「くるみ」という新しい名前をもらいました。そして、Nさんのたっぷりの愛情を受け、先住犬と一緒に明るく元気に過ごし、保護施設ではなかなか見せてくれなかった笑顔を浮かべる毎日を送っています。
(まいどなニュース特約・松田 義人)