浅野忠信、全裸着替えのお笑い芸人に「プロだな」1999年映画「鮫肌男と桃尻女」の撮影裏話

1990年代に青春を過ごしたサブカル好きたちをミニシアターの世界に引き込んだ映画「鮫肌男と桃尻女」がブルーレイになり、25年ぶりに帰ってきた。発売日の5月29日を前に新宿ピカデリーで、主演の浅野忠信さんと石井克人監督のトークショーがあり、当時の撮影を回顧。苦労や怪演した我修院達也さんにまつわる秘話のほか、浅野さんの滑舌などに話は及んだ。

1999年公開の同作は望月峯太郎さんによるコミックが原作で、CMディレクターの石井監督の初長編映画。組の金を横領したやくざの鮫肌(浅野)と、叔父(島田洋八)の経営するホテルで働く桃尻(小日向しえ)の逃避行劇をスタイリッシュに描写。ハイセンスな衣装や感度の高い音楽、過激なバイオレンス、小気味良いテンポの映像で、邦画ミニシアター系映画として次々と興行記録を塗り替えた。

トークショーで浅野さんは、コミックの主人公が筋骨隆々だったため「これ、全然僕じゃないけど、(演じるのは)僕でいいんですか?」と監督に聞いたことを明かしつつ、監督のそれまでの作品を見て「絶対にやりたいと思った」と話した。石井監督は浅野さんについて「(過去作品の)狂気の男の役が演技に見えなくて、本当に怖い人なんじゃないかと思ってドキドキした。でも会うと優しい人でびっくりした」と振り返った。

「鮫肌ー」では桃尻に異常な愛情を持つ叔父役の島田さんと、殺し屋役の我修院さんが強烈な存在感を放つ。浅野さんは「島田さんは毎回、衣装に着替えるとき、パンツごと脱いで全裸になっていた」と回想。驚いた一方で「プロだなと思った」と語った。また、トイレで童謡「ドナドナ」を歌う名シーンを撮影する際、我修院さんが「石井ちゃん、キーはこれでいい?」と何度も音程を確認していたことを思い出し、2人で盛り上がった。

アニメの話から、浅野さんの滑舌や声の小ささにもトークは展開。浅野さんが演じる時は「(マイクの)感度をガンガン上げる」と石井監督が話すと、浅野さんは「声だけで1時間、話ができますよ」と前振りをしながら、山田洋次監督にも滑舌を注意され「だいぶん鍛えられた」とした。ただ、ハリウッド映画「バトルシップ」の撮影の際、リーアム・ニーソンさんの声がかなり小さかったにもかかわらず、しっかり録音できていたエピソードを披露し「(音声は)とれるんじゃねーか、と思った」と笑いを誘った。

未公開NGカットや石井監督のインタビューなどを収めたブルーレイは税込み5280円(発売元・TCエンタテインメント)。そのほか、同じ5月29日には石井監督の「PARTY(パーティー)7」のブルーレイが発売、7月3日には「茶の味」のブルーレイもリリースされる。

(まいどなニュース/神戸新聞・堀内 達成)

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