外歩きが大の苦手な愛犬 近所のワンコから散歩の楽しさを教わった 楽しそうな様子は「頭の中で音符が飛んでいる?」
2021年暮れ、広島県動物愛護センターに子犬が収容されました。推定生後2カ月ほどのオスで、後につけられた名前は大也(ダイヤ)。元野犬らしく人間とのコミュニケーションが苦手でした。
後にピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)に保護された後、3カ月ほどで里親さんが見つかり、巣立って行きました。
里親さんは以前、生まれて間もない捨て犬を飼った経験のありますが、ビビリの大也はなかなか馴れず、外を歩くのも苦手で初めて見る人の前ではおしっこを漏らしてしまいます。しばらくの間は、散歩に行っても歩くことができず、ずっと里親さんに抱っこされて外の空気、景色を楽しむという生活でした。
■自分で歩くのが怖くて「抱っこ散歩」しか出来なかった
「外の雰囲気に馴れれば、いつか歩いてくれるだろう」と期待する里親さんでしたが、抱っこから地面に放すともうダメ。こんな生活がしばらく続いていましたが、ある日のこと。恒例の抱っこ散歩の途中、近所で暮らす7歳のSくんというオスのワンコと出くわしました。
明るく優しい性格のSくんは、大也に積極的にコミュニケーションを取ってくれ、「どうして歩かないの?」「自分で歩いたほうが絶対楽しいよ」と誘ってくれるようになり、大也は「そ、そうなの?」とSくんの後ろを着いていくようになりました。
途中ですれ違う別のワンコを前に、大也がビビっているときもSくんは「大丈夫だよ。みんな友達だからね!」と犬社会の挨拶を自ら示し、少しずつ大也も他のワンコと触れ合えるようになりました。
■「頭の中で音符が飛んでるの?」
Sくんの行動をお手本にしたことで、大也はすっかり成長。散歩が大好きになり、いろんなワンコたちとも友達になりました。
里親さんによると、公園に行くと大也はうれしそうに走り回ってくれるように。「頭の中で音符が飛んでいるみたい」(里親さん)で、「これもSくんが大也に教えてくれたおかげ」と話します。
■人間が苦手なのは相変わらずだけど…
今でも、里親さんの家に見知らぬ人が訪れると、大慌てでおしっこをぽとぽとしてしまいますが、散歩と犬社会でのコミュニケーションをクリアしたことから里親さんは前向きに考えていています。
「時間はかかるかもしれませんが、ここまで成長してくれた大也なので、いつかきっと人馴れもしてくれるはずだと思っています。その日が来ることを信じて、大也と一緒にのんびりがんばって行きたいです」
(まいどなニュース特約・松田 義人)