背骨3カ所折れ、直腸断裂した子猫「安楽死させた方が」下半身不随でも人を恨まず、穏やかな日々
みーちゃん(5歳・メス)は、2019年11月23日、大阪福島区の道路を匍匐(ほふく)前進していた。当時、生後8ヶ月くらいだった。
近所に住む人が、滅多に通らない道をたまたま歩いていた時に発見したという。その人はみーちゃんを保護して病院に連れて行ったが、「重傷なのでうちでは診られない」と大きな病院に回された。夜まで検査入院したが安楽死を勧められたという。
「保護主さんは、ボランティアをしている私を探して連絡をくれました。深夜でしたが、夜間救急に走って獣医師に話を聞きました。しかし、やはり安楽死を勧められたので引き取って、翌日、私のかかりつけ医に診てもらいました。」
かかりつけ医に診てもらうと、みーちゃんは背骨が3箇所折れていて、肛門横から直腸手前まで断裂し裂けていた。激痛のため呼吸も荒かった。
「多分、背骨の上をバイクか二輪車が通ったんだろうと。臓器の数値も振り切ってる状態でした。
頭も打ってる可能性ありました。でも、かかりつけ医は『安楽死はしなくて良い。やれるだけ治療をしよう』と言ってくれました。」
■九死に一生を得た猫
winさんは、タンカを作って背骨を動かさないようにして毎日通院をした。
「激痛のため呼吸が荒くなることもあり、深夜に夜間救急へ運んでペインコントロールをしてもらいました。命の危機を脱したのは2週間後くらいでした。」
みーちゃんの本名は「ミラクル」。最初に発見した人につけてもらったのだが、「ミラクルを起こすように」という願いが込められている。
「背骨は3箇所折れていて、1番頭側のところから上に激痛が走るようでした。その骨から下側は麻痺して下半身不随になりました。毎日2回の圧迫排尿と摘便をして今は快適に過ごしています。」
下半身不随でも逃げ足は速く、病院は大嫌いだが、治療はいつも大人しくさせてくれるみーちゃん。
winさんのシェルターのボスだという。
「他の猫も一目置いていて、みーちゃんにはみんな優しくしてくれてます。少しの段差なら上がれますし、チュールが欲しい時は前へジワジワ現れるところが可愛いポイントです。事故の後遺症で、肛門付近に変なポケットができていて、便が溜まると糞詰まりになるので、毎日腸を優しく揉んでつまったら指でかきだしています。」
現段階では譲渡不可だというみーちゃん。winさんは、いつか譲渡の土台に乗る日がきたらいいなぁと思っている。
「事故に遭って下半身不随になっても人を恨まず、今を生きる。外の世界を窓から眺めたり、考えて工夫して好きなところに登る姿は愛おしいです。事故猫は2度轢かれるという言葉があります。事故猫を見かけた方は、どうか手を差し伸べていただけたらと思います。」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)