低体温で今にも息を引き取りそうなメス猫 「三途の川」から戻ってきた やせた体に体力が戻ってきたあなたは「不死猫」だね
2024年2月、愛媛県内のとあるエリアで息を引き取りそうな状態で保護されたメス猫がいました。体に触れてみると明らかな低体温。意識も朦朧としています。
地元の保護団体・愛Catと動物病院、そして同時期に愛媛に訪れていた東京のNPO法人・ねこけんの関係者らが連携し、小さな命を救おうと適切な医療ケアを施しました。この小さな命が蘇ってくれるを願い、不死鳥「フェニックス」から「フェニ子」と名前をつけました。
■息を引き取りそうな状態で数時間経過…
保護から数時間が経過してもフェニ子は目をつむったままです。猫伝染性腹膜炎・FIPを発症しているようで、いつ息を引き取ってもおかしくない状況が続きました。そんな中、異変が起きました。
フェニ子の体が少し動き、顔を上げました。ゆっくりと立ち上がり、グルリと回っておしっこ。意識が朦朧としているのか、フラフラですが、保護メンバーと目を合わせました。
「やった。フェニ子が意識を取り戻した!」
■三途の川を半分以上渡って戻ってきてくれた
言わば「三途の川を半分以上渡り、戻ってきてくれた」フェニ子。ここから数日は予断を許さない状況でしたが、日に日に生気を取り戻し、エサを口にするようになりました。
保護から10日ほどが経過するころ、意外な行動も。点滴を嫌がり、注射針に噛みつこうとしたり、人間を前に「シャーシャー」と威嚇するようになったのです。
「みんなで助けてあげたのに、なんで怒るの?」と驚く保護メンバーでしたが、それもこれもフェニ子が元気になってくれた証です。保護メンバーはフェニ子に噛まれること自体もうれしく思いました。
■無事退院。治療を続けながら幸せを目指す
保護から約1カ月後フェニ子は無事退院。しばらく愛Cat代表の家で暮らすことになりました。まだまだ治療が必要で、同じほどの月齢の猫と比べ健康とは言えない状態です。
それでもガリガリに痩せていた保護当初よりもすっかり太り、日々の治療もがんばって続けています。多くの人間の思いを前に、応えてくれるかのように三途の川を戻ってきてくれたフェニ子。その「不死鳥」ならぬ「不死猫」伝説は始まったばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)