玄関先の段ボール、不審に思って開けると…中には、下痢と尿まみれの生きものが 奇跡の回復で、22歳の長寿猫に成長したふくくんの物語
22歳のふくくんは、高いところが苦手という猫らしくない猫ちゃん。おっとりとした性格で、喧嘩も苦手です。飼い主きいぼうさんは危機的な状況のふくくんを保護した時のことを思い出し、長寿猫となってくれたことに嬉しさを噛みしめます。
■玄関先で瀕死状態の子猫が入った段ボールを発見
2002年7月4日、仕事から帰宅した旦那さんは玄関前にあった段ボールに目が留まりました。荷物を頼んだ覚えなどなかった飼い主さんは外に出て、旦那さんと一緒に段ボールを開封。すると、中にいたのは下痢と尿まみれの生きものでした。
最初はネズミかと思いましたが、よく見ると生後2カ月ほどの子猫。2人は慌ててお風呂場で子猫の体を軽く洗い、すぐに動物病院へ。獣医師からは腸のダメージが酷いため、生存の確率は低いと告げられました。
それでも飼い主さん夫婦は諦めず、「ダメだとしても精一杯の治療をしてやって下さい」と懇願。腸にダメージを与えている原因のコクシジウムを駆虫するため、投薬治療の日々が始まりました。
「でも薬がなかなか合わなくて…。下痢は収まらず、体重も増えませんでした。遊びたい盛りだったので見ていて切なかったですが、同居猫に移らないよう、ケージに隔離しながら治療しました」
■高所が苦手でモルモット用のケージを好んだ幼猫期
駆虫が成功したのは、半年後。体重も少しずつ増え、ようやくケージから出ることできました。この子には、幸せになって欲しい。そう思い、幸福の「ふく」と命名。
ふくくんは小さな頃から温和で、高所が苦手。飼い主さんがよかれと思い、高い場所に乗せてあげると、降りようとして落下してしまったことも…。
「怪我がなくてよかったですが、猫なのに…と笑ってしまいました」
その一方で、同居猫たちが苦手な被り物は大得意。なんでも見事に被り、家族を笑顔にしてくれました。
幼猫期、好きだった場所は同居していたモルモットのケージ。よく入っては、まどろんでいました。
そんなふくくんを気にかけていたのが、同居猫のあとむくん。男の子ではあったものの、母親代わりで面倒を見てくれました。
「今は亡きあとむ(享年20歳)には心を許し、いつも一緒にいました。あとむが亡くなる3~4日は離れることなく見守っていて切なかったです」
ふくは、全てがかわいい。家族であり、私の分身--。そう話す飼い主さんは1日でも長く健康でいてくれるよう、人間が口にするものを一切あげないように徹底。猫用のおやつもほぼあげず、健康を管理しています。
ご長寿にゃんことなっても、まだまだ食欲旺盛なふくくん。猫又になる日は近いかも…?
(愛玩動物飼養管理士・古川 諭香)