「病気持ちだから売れない」 ブリーダーから見放された子猫は毛玉だらけ 功を奏した服薬治療 小さな体で幸せ探し
生後5カ月ほどで保護されたスコティッシュフォールドの子猫・ぱぴこ。ブリーダーの元で生まれたものの、いくつも先天性疾患があるため、「売れない」と判断されてしまいました。行き場を失っていたところを静岡県の保護団体・アニマルフォスターペアレンツが引き取り、世話をすることになりました。
■満足な世話をされず
保護時のぱぴこは生後5カ月にもかかわらず、体重は1キロほど。ガリガリに痩せており自慢のはずの毛並みは毛玉だらけ。全く世話されていなかったことは明らかでした。スタッフは「ぱぴこと一緒にその持病と向き合いながら、少しでも幸せを感じてもらえるようお世話しよう」と心に誓いました。
ぱぴこの体をなでて話しかけました。
「これからよろしくね。持病と向き合いながら楽しく一緒に過ごそうね」
なでられた機会がこれまでほとんどなかっであろうぱぴこはうれしそうな表情で、喉をゴロゴロと鳴らし、スタッフの顔をじっと見つめました
■先天性疾患は大きく3つ
ぱぴこは動物病院で様々な検査を受けました。判明した疾患は、肺動脈への血流が妨げられる「肺動脈弁狭窄症」、食べるとすぐに吐いてしまう「巨大食道症」、さらに心臓の奇形も確認されました。
これらは先天的な持病であり、完治は難しいものです。ですが、改善や日々の世話の工夫次第で生活を送ることができるとも獣医師は言いました。スタッフは、獣医師からぱぴこのお世話の仕方について念入りに教えを請い、そのやり方を守って世話をすることにしました。
■部屋中を歩いてくれるようになった
獣医師の教え通りに世話をし投薬などをしたところ、10日ほどでぱぴこがみるみる元気になりました。きれいにした毛並みを揺らし、てくてく部屋中を歩く姿を見てスタッフは「元気になってくれて本当に良かった」と喜びました。
今後も病気と向き合いながらの日々が続きます。それでも、優しいスタッフ、的確な診察と生活上の助言をしてくれる獣医師が見守る環境なら、ぱぴこは安心して過ごせるでしょう。幸せいっぱいな猫生を送ってほしいと願うばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)