先天性の奇形? 保護された子猫は後ろ足がなかった 「強くしっかりと生きていけるように」 願いを込めて「あんよ」と名づけた
■脚がない子猫が来る?
あんよちゃんは、愛護団体NPO法人ねこけんに、「脚がない子猫が来るんです」という相談が寄せられたことをきっかけに保護された。
最初相談があった時、「脚がないのにどうやって来るのか」とねこけんの代表はいぶかしく思った。
相談者に尋ねると、「どうやって来ているのか…はって来るのかなぁ。いつも来るわけではないのですが…」と言う。虐待なのか事故なのか…良くない想像が膨らんだ。さらに詳しく話を聞くと、「子猫の脚は全部無いのではなく、後脚が両方ともないが動ける。小さい子猫で、どうやら先天性の奇形のようだ」ということだった。
その後、「来なくなった」という連絡を受けたが、数週間後「また来ました」と。
後ろ脚がない状態では外で生きるのは難しい。仮に保護した場合、不妊去勢手術やワクチン代がかかる。
「相談者さんは『お金がないです。お金がかかるなら諦めます』と言われました。国から支援を受けている身内や病気のご両親を抱え、とても苦労されていたのです。私たちは分割でも良いので、お金ができたら払ってもらったらいいと伝えました。」
■強くしっかりと歩んでいけるように
相談者は、自分でできることは全部やると言い、あんよちゃんを捕獲して、不妊去勢手術、ワクチン、ノミ取り代を負担し、ねこけんにあんよちゃんを連れてきた。
茶白の小さな男の子。後ろの右脚は根元から全く無く、左の後ろ脚は、小さく捻れて縮んでいた。獣医師は「先天性だと思う。いつかは捻れた足を取らないと駄目かも知れないけど、今は歩けているので様子見たほうが良いと思う」と言った。
あんよちゃんは上手にバランスを取りながら、両腕で身体を持ちあげて移動したのだった。
「まだ身体の軽い子猫だからできるのかも知れませんが、猫の神様は、ちゃんと生きていく能力をくれたんですね。強くしっかりと歩んでいけるようにという願いを込めて、名前は『あんよ』にしました」
ねこけんメンバーは、「しっかりと前を向いて、幸せに向かって歩こうね!」と、心の中であんよちゃんを応援した。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)