繁殖場のチャウチャウ2匹に子宮蓄膿症の疑い はらはらする保護団体スタッフ 当のワンコはきょとん顔

2024年春、静岡県の保護団体・アニマルフォスターペアレンツ(以下、アニマルフォスター)にある相談が持ちかけられました。

「繁殖場にいるメスのチャウチャウの2匹のお腹が膨れ上がっている。子宮蓄膿症の疑いがあるが、繁殖場関係者は『治療はしない』と言っている。命にかかわることもあるので、なんとかレスキューしてもらえないか」

2匹はいずれも推定年齢7~8歳とのこと。

■高齢犬がかかりやすい子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、高齢犬がかかりやすい病気で、原因は細菌感染で子宮に膿がたまってしまうもの。相談者が指摘するように、放置するとショック症状を起こしたり、大量の膿によって子宮が破裂し、命を落とすこともあります。

スタッフは迷わずこの2匹を引き取りに繁殖場へ向かい、動物病院へ連れて行きました。

■診断中も2匹はお利口さん。笑顔を浮かべるほどに

2匹とも自慢の毛はなく、素肌が出ている状態。膨らんだお腹だけでなく、他にも病気があるのかもしれません。

スタッフは診察前に、毛色の濃いほうのチャウチャウに「かのこ」、毛色の薄い方のチャウチャウに「もなか」と名前をつけてあげました。

2匹は動物病院で血液検査やエコーなどで、全身をくまなく診察。2匹は暴れることなく、かのこは尻尾を振ってニコニコ。もなかも同じく笑顔を浮かべていました。

これまで「繁殖犬」として望まぬ妊娠出産を複数回強いられたであろう2匹。病気となったら「用なし」とされ、満足な治療もしてもらえない。それなのにかのこも、もなかも健気に笑顔を浮かべています。スタッフは「せめて診断の結果が、子宮蓄膿症などの命にかかわるものでないこと」を祈り、獣医師の言葉を待ちました。

■2匹に下された診断結果は…

診断の結果、2匹とも子宮蓄膿症ではありませんでした。しかし卵巣に腫瘍があり、そのせいでお腹が腫れているとのこと。ただ、手術をすれば治る病気だとも。

胸をなで下ろすスタッフ。その横で「どうしたんですか?」ときょとん顔の2匹。

うれし涙が出そうなスタッフでしたが、これからは2匹に適切な世話を続け、獣医師と相談しながら2匹の手術を実施することにしました。

■「人間の道具」ではない

現在も2匹は手術には至っていません。それでもスタッフから献身的なサポートを受け、笑顔を浮かべる機会が増えました。後に手術を無事に終えたら「2匹それぞれを幸せな犬生へと繋げたい」とスタッフは話します。

過酷な環境から救われた命。どうか2匹とも無事に手術を終え健康を取り戻し、「人間の道具」ではなく「ワンコらしい晩年」を送ってほしいと願うばかりです。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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