「賃上げ予定がない」中小企業は4割弱…賃上げしない理由の3位「雇用維持の優先」、2位「景気低迷」
フォーバルGDXリサーチ研究所(東京都渋谷区)は、このほど「中小企業の賃上げ」に関する実態調査の結果を発表しました。同調査によると、半数以上の企業が「賃上げを実施」している一方で、4割弱の企業が「賃上げ予定がない」と回答しました。賃上げをしない理由にはどのようなものがあるのでしょうか。
調査は、全国の中小企業経営者973人を対象として、2023年12月~2024年2月の期間にインターネットで実施されました。
まず、「2023年1月以降の従業員の賃上げ状況」を尋ねたところ、「賃上げを実施した」と答えた経営者が52.3%となりました。また、「今後の賃上げ予定」については、61.3%が「賃上げの予定がある」と回答し、中小企業においても賃上げが促進されていることがうかがえました。
続けて、「今後賃上げを行う予定がある」と回答した596人に「賃上げ率」を教えてもらったところ、「1%~3%」(38.3%)や「3%~5%」(34.7%)に回答が集まり、多くの中小企業が賃上げに取り組めているものの、平均賃上げ率の5.25%(出典:日本労働組合総連合会)と比べると低い水準の中小企業が多いことが分かりました。
一方、「今後賃上げを行う予定はない」と回答した377人にその理由を複数回答で答えてもらったところ、「業績低迷」(36.6%)、「景気低迷」(26.8%)、「雇用維持の優先」(26.0%)といった回答が上位に並びました。
これらの調査結果から同研究所は、「賃上げ予定のある企業の割合は多いものの、業績拡大に伴うものではなく、人材確保・定着のための『防衛的な賃上げ』が多くなっている」と推察。そのうえで、「持続的な賃上げ実施に向けて生産性を向上させることが必要」と述べています。
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【出典】
▽フォーバル GDXリサーチ研究所調べ