首を咬まれてウジがわいた子猫…保護団体必死のサポートで一命を取り留め元気に
■首に穴が空いてウジがわいた猫
「ゴブちゃん」は2018年9月、愛護団体NPO法人ねこけん千葉支部のメンバーに山の中で保護された。そこにいる猫はほとんどが人に慣れていて、異様に同じ模様や毛色の猫が多数いた。
「猫を可愛がっている方が不妊去勢をしなかったためにどんどん増え続け、猫の牧場のようになっていました」「千葉のメンバーが、必死でTNRや保護、譲渡を進めていました」
そこで力無くうずくまっていたのがゴブくんだった。首には深い牙の刺さった穴が開いていて、傷口にはウジが湧いていた。食欲もなく、危険な状態だったという。
「地元の病院でわいたウジを除去し、傷が化膿しないように治療をしてもらいました。その後、千葉支部のメンバーが、急遽東京の武蔵野の森どうぶつ病院さんへ搬送してくれました」
ゴブくんは、本来なら無邪気にはしゃぎまわる月齢の子猫だったが、痛々しい姿で生死の境をさまよっていた。
「外で増え続ける猫たちは野生動物や野犬に襲われ、大怪我を負ったり人間との生活に軋轢が生じたりして、常に命の危険に晒され続けています。 ゴブくんは、首に深い咬み傷を負って痛々しい姿になっても、生きようとしていました」
メンバーは、「まだまだこれから、絶対に死ぬんじゃないよ。早く元気になるんだよ!あなたを抱きしめるための両腕を広げてみんなで待っているからね!」と声をかけ続けたという。
■大怪我をしている子猫を前にした時、どうする?
ねこけんのメンバーは言う。
「大怪我をしている子猫を前にした時、思わず尻ごみをしてしまいそうになるのは当然のことだと思います。『死んでしまうのではないか?まずは、病院へ連れていかなくては!』と、ここまではすぐにそう思われるでしょう。しかし、そこで二の足を踏んでしまうことがあると思います」
病院へ連れて行っても、その後飼えないし、高額な医療費を請求されたらどうしよう。私の猫ではないし、多分アレルギー有ると思うし、仕事行かなくちゃならないし。ボランティア団体に匿名で連絡をいれておけば良いかな?ボランティアさんが何とかしてくれるよね?と、様々な思いと不安とが駆け巡り、半ばパニック状態になってしまう。
「そんな中でもどう行動するかで、猫たちの生死が分かれます。誰かがきっと助けてくれると思って立ち去っても、望みの薄い希望に命が応えてくれるケースは多くありません。とりあえず、この先の不安はあるけど、病院へ連れて行って、先生に相談することで子猫が助かる可能性は高まります。でもどちらを選択しても誰も悪くはありませんし、誰かに責められることでもありません」
命を目の前にした時、どう行動するかは自分で決めることだ。その決断に他人が口を挟むことはできない。
「でも、できることなら、みんなが不安を感じることなく助けられる世の中になればいいなと思って活動を続けています」
身体の模様から五分丈のゴブちゃんという仮名がついた子猫は、千葉支部メンバーASAさんの元で、めきめき回復したという。誰もが負傷した動物に手を差し伸べられる世の中になったら、助かる動物が増えることは言うまでもない。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)