猪から受けた傷は癒えたけど…元猟犬が見せる「食」への執着 利口で甘えん坊のあなたに幸せが訪れますように
静岡県内の保健所に体重22キロほどの元猟犬が収容されました。9歳ほどのメスで、後につけられた名前は「ベル」。猪から受けたと思われる傷を負っていましたが、保健所が治療をし回復。その後、保護団体・スリール~犬達の幸せ探し~(以下、スリール)が引き出し、世話することになりました。
■尋常ではない「食べることへの執着」
元猟犬らしい勇ましいルックスですが、性格は人間大好きの甘えん坊。保護当初から尻尾を振って甘えてきました。
保健所に収容されるまでの間、どれだけ放浪していたのでしょうか。預かりボランティアさんの家に迎え入れられてからは、とにかく常にご飯を探し続け、食べ終わった後も血眼でごはんを探していました。
その様子からは不安だった放浪生活がうかがえ、預かりボランティアさんは胸を痛めました。しかし、「ここはご飯をもらえる場所」「私がいても良いんだ」と理解してくれたのか、数日後には落ち着いてお座りをして過ごすようになりました。
■複数の手術後、体調を崩したベル
ベルは他のワンコにちょっかいを仕掛けることもなく、逆に攻撃を受けても全く無視。「無駄なことはしない」という元猟犬らしいクレバーな面もありました。
「こんなに立派でお利口さんのベルなら早い段階で里親さんが見つかるかも」とスリール関係者は期待をかけましたが、避妊、腫瘍の除去など他のワンコに比べて「大きな手術」を受けたところ、そのまま体調を崩し数日間寝込んでしまいました。
■ベルの里親募集は一時中断に
シニアの域に差し掛かっていることもあり、複数の手術は体の負担が大きかったのかもしれません。一時、息が荒くなりましたが、適切な投薬や預かりボランティアさんの献身的なケアの甲斐もあり、少しずつ回復。元気になったベルは再び笑顔を見せてくれるようになりました。
ベルの体調を最優先するため、里親募集は一時中断。しばらくは預かりボランティアさんの家で穏やかに過ごしてもらうことにしました。
今のベルは静養の日々ですが、少しずつ体も動かすようになり、仲間のワンコと一緒に川原に遊びに行けるようにもなりました。ただし、こういった散歩の場面でも、また草を延々と食べ続けるという謎の行動も。
これもまた長い放浪生活で身についてしまった癖なのかもしれません。
生き抜き複数の手術を乗り越えたベルです。元気を取り戻し里親を募集した際には、ぴったりのマッチングが実現することを願うばかりです。
ベル、まずはゆっくり静養してね。ベルのお利口さんぶりならいつか「ずっとのお家」を見つけることができるはずだよ!
(まいどなニュース特約・松田 義人)