シングルマザーが突然死…退去期限迫るアパートには6匹の猫が 残された子どもたちのSOSが命をつなぐ

関東地方のある家庭で6匹の猫の多頭飼育崩壊が起こった。飼い主はシングルマザーと3人の子どもたちだったが、ある日突然お母さんが死亡した。

残された子どもたちのうち、一番年上の18歳のお子さんが、2日おきにアパートにごはんだけあげに行っていたという。ただ、3月末には、アパートを引き払わなくてはいけないという退去期限が迫っていた。

愛護団体NPO法人ねこけん(以下、ねこけん)は、そのことを知ったメンバーKAWさんから相談を受けた。

「娘さんがあちらこちらにSOSを発したものの、どこにも引き受けてもらえず、ただただ時間だけが過ぎていったということでした。確かに、多頭飼育崩壊や、飼育困難のSOSがとても多くて、3月なので子猫シーズンに突入する季節でもあり、引越しシーズンで捨て猫が増える時期でもありました。」

ねこけんも他の団体と同じような状態ではあったが、残された18歳のお子さんと実際に話をしてみた。代表は、「月末までにアパートから猫たちをレスキューしなくてはならない!全部救う!」と腹をくくったという。

■アパートに残されていた3匹の猫

6匹の猫のうち3匹は友達の家で預かってもらっているということだったので、ねこけんの代表とメンバーは、ひとまず3匹の猫が残されているアパートに緊急出動した。玄関ドアを開けるや否やマスク越しにも吐き気を催すような臭気が漂ってきた。

「お子さんがごはんをあげていたのですが、トイレはそのままになっていて猫の糞が堆積していました。」

薄暗い室内で猫を探すと、ボックスの陰からこちらを見ていた。人恋しいのか、他の猫のニャーンニャーンという声もした。すると三毛猫が出てきて、娘さんが置いていたカリカリを食べ始めた。押し入れには大きな白黒猫が。

「室内は物が散乱し、まだ寒い季節でしたがエアコンもなく、毛布が2枚置いてありました。他に暖が取れるものはありませんでした。」

代表は、「ここには置いて行けない!今日連れて帰るよ!」と言った。2匹の猫はすんなり捕獲できたが、1匹は難航したという。捕獲しようとしても逃げる、逃げる。最後には、捕獲機よりも優秀という代表の手で捕まえられた。

「一時避難所まで運んでキャリーからケージに移動させ、ごはんをあげると、環境が変わったにも関わらず、猫たちはカリカリとごはんを食べました。よほどお腹が空いていたのでしょう」

■幸せの痕跡

友人の家にいるという3匹の猫も保護してほしいと言われていたので友人宅に出向くと、ご自身でもたくさんの猫を家族に迎えている人だった。

「本当はうちで飼ってあげられたらよかったんだけど、うちも猫がたくさんいて。どうかこの子たちをお願いします」と、涙を浮かべて別れを惜しんでいたそうだ。

「あのアパートの一室には、母親と3人の子供たちと6匹の猫の幸せの痕跡がありました。先々に何が起こるかなど誰にも分かりません。不幸にも若くして突然お母さんが亡くなり、残された幼い子どもたち3人はさぞかし心細く、また6匹の猫をどうしたらよいのか分からず、途方にくれたのだと思います。」

代表は、「6匹とも全部!必ず幸せな猫生へ送り出します!」と誓い、全員里親の元に旅立った。子どもたちは、祖父母のもとで暮らすことになったという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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