「女子高生が発見しました」無人駅に段ボール箱で子猫を遺棄 箱にはウインナーのかけら…「優しさのつもり?」SNSで怒りの声

「森町 尾白内(おしろない)駅に段ボール遺棄です 女子高生が発見しました」

北海道茅部郡森町尾白内町のJR函館本線・尾白内駅に段ボール箱に入った1匹の子猫を地元の女子高生が見つけたと、道南せたな町を拠点に保護猫活動をしている「ソラネコせたな」さん(solaneko.setana.waako)がInstagramに報告。投稿した写真の1枚目には、仮死状態でぐったりしている子猫の姿が…。そのそばにはウインナーのかけらも写っています。そんな子猫を目にした人たちから怒りのコメントが殺到しました。

「最初の写真見て泣きました…」

「ええ…こんな小さな子ひとり何も毛布もない状態にウインナーって」

「こんな可愛い姿を見ながら捨てる事が出来るなんて…ウィンナーは優しさのつもりなのでしょうか…」

「捨てた人間よ 罰当たりが!!こんな小さな子猫を…あなたは、血が通ってますか!?」

「こんな事するなんて…本当に酷く…悲しいですね…」

■通学中の女子高生が子猫を発見→親に連絡、保護→ボランティア団体へ

子猫を発見したのは、6月2日のこと。通学中の女子高生は見つけた後、親御さんに連絡しました。そして、「ソラネコせたな」さんのところに保護依頼が入ったといいます。

「尾白内駅は小さな町の一角にポツンとある無人駅で、一日あたりの利用者も少ない場所。人目に触れにくいことから遺棄したのでしょう…あと30分でも遅かったら子猫は死んでいたであろう状態でした。見つけてくれた女子高生は通学のため、親御さんへすぐにバトンタッチして、それからソラネコせたなへ連絡が入ったんです。

子猫は低温で仮死状態…私たちへバトンタッチされるまでの数時間でやるべきことをアドバイスすると迅速に対応してくれました。それは、熱湯をペットボトルに入れてタオルで包み簡易湯たんぽにして保温したり、体が温まり動きが出てきた後にはミルクを飲ませたり。やっていたたいたおかげで、子猫はミルクをグビグビ飲んでくれて一命を取り留めました」

■保温やミルクで一命を取り留めた子猫 名前は「豆大福」

保護されたその日のうちに、子猫はソラネコせたなのシェルターへ移動。引き続き、保温やミルクのほか、排せつ介助を行うなど、ソラネコメンバーの哺乳係が子猫のお世話をしています。シェルターに移ってからは体力もかなり盛り返してきたそうです。

「子猫がみるみる元気になる様子を見て、保護主の親子さんが必死で頑張ってくれたことが手に取るように伝わりました。今は哺乳係が2、3時間おきのミルクや離乳食練習、排せつ介助からのトイレトレーニング、睡眠や運動の管理などをし、保護時210グラムだった小さな体もしっかり成長して大きくなってきています」

ウインナーと一緒に捨てられていた子猫は、「豆大福」ちゃんと名付けられました。生後2カ月半から3カ月あたりをめどに1回目のワクチンをして里親募集を開始するとのこと。「ソラネコせたな」代表の宮代美保さんは「里親募集は体調に合わせてとなりますが、猫エイズや白血病への感染を調べるためのウイルス検査も行う予定です」と話してくれました。

  ◇  ◇

■北海道の南に位置する小さな町 代表「子猫は海や山へ捨てる。遺棄や虐待は犯罪であることを知らない人が多い」

宮代さんの活動エリアでは、高齢化が進み、猫を飼っている高齢者が入院や施設入居、亡くなるなどして飼い主を失い行き場をなくす猫が年々増え続けているといいます。

「私たちは北海道の南に位置する人口7千人弱の小さな町で活動しています。動物病院もないので、不妊手術をしたくてもできない飼い主が圧倒的に多いです。その結果、産まれた子猫は海や山へ捨てる。目が開かないうちなら良いと考えている人が多いのが現状です。今年に入ってからの遺棄は11匹。すべてソラネコせたなで保護しました。保護主さんやボランティアさんたちの適切な協力の元で命はつながり、亡くなる子もいなく元気に育っています。動物愛護法が確立されていますが、遺棄や虐待は犯罪であることを知らない人は本当に多いです。

そして、避妊去勢手術の重要性をいまいち理解してもらえていないからこうした問題が減らないのだと思います。子猫を増やさないだけではなく、雄雌ともに発情を繰り返すことで雌は避妊をしないと子宮の病気になりやすいことや、雄猫もマーキングしたり凶暴性が高まったりするので良いことはありません。野良猫や、サクラ猫となった地域猫でも邪魔にしたり、暴力などの虐待があったり…犯罪であることの前に命を大切にするという根本的なところが欠けているように思います。動物たちが苦しむ背景には必ず人間の問題があるので、動物愛護法を含め、動物の命を守れる人間がもっともっと増えてほしいと心から願います」

また宮代さんが代表を務める「ソラネコせたな」は現在、猫の保護、里親募集だけではなく、どうしたら不幸な命を増やさなくて済むかを目的に啓蒙活動を兼ねて定期的に譲渡会も開催。このほか、動物病院のない町のため、ソラネコせたな卒業の猫以外の飼い猫もサポートし、車のない人や高齢者が飼っている猫の通院なども代行しているそうです。

「今年は猫たちが安心して暮らしながら里親様との御縁をつかめるように新しいシェルターを作りました。築40年の中古物件を様々な人たちに手伝ってもらいながら自分たちでリフォームし、そのために膨大な費用が必要だったのでクラウドファンディングにも挑戦。おかげさまでたくさんの方からご支援いただき、シェルターも無事に完成して今に至っています。今後も皆様からの応援やご支援、時には厳しくご指導いただきながらも命を守るための活動に精進していきたいと考えています」

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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