相次ぐ「乱気流」による航空機事故 5月には死者も…現役CAが語る、機内でできる“安全対策”とは

2024年5月21日、ロンドン発シンガポール行きのシンガポール航空の旅客機が乱気流に巻き込まれ、1人が死亡、少なくとも30人がケガをするという痛ましい事故が発生しました。さらに26日にはカタール航空の旅客機が乱気流に巻き込まれたことにより乗客12人が負傷するなど、乱気流に関連する航空機事故が相次いでいます。

ネット上では「予想外の乱気流なんてどうしたらいいの…」「機内の対策はどうなってるんだろう」など、航空保安への懸念の声があがっています。このような不安は海外だけの話ではありません。

台風や梅雨など、これからは日本国内でも気流が不安定な時期になります。乱気流によるトラブルに巻き込まれないために、何か対策はあるのでしょうか。機内での安全対策や乗客ができることについて、某日系航空会社で客室乗務員として勤務している三杉初枝さん(仮名)に話を伺いました。

ー予想外の乱気流は、頻繁に起こるものでしょうか?

頻繁には発生しません。私が搭乗した旅客機で突発的な揺れで身体が浮く・転倒するなど身の危険を感じた経験は、ここ5年くらいで考えても数回程度です。

ただ、天気や飛行ルートから予測できる強い揺れの発生タイミングなどは機長から共有されますが、全く予測しないタイミングで揺れることも少なくありません。安定飛行だったはずが、突然の乱気流に巻き込まれたときが本当に恐ろしいです。

ー乱気流に巻き込まれた際は「お皿が飛び交っていた」なんて声もありますが、機内での安全対策はどのようにおこなわれているのでしょうか?

まず、乗客には常時シートベルトの着用を要請しています。長いフライトだとお手洗いなどで離席することもありますし、シートベルトを外してしまう人もいるため、客室乗務員が適宜アナウンスしたり個別に声をかけたりしています。

サービスについては、強く揺れることが予想できている場合、食事やドリンクを乗せたカートを揺れるタイミングの前後では絶対に出しません。また、例え小さな揺れであっても自身が危険と感じた場合は、独断でサービスを中断することもあるので、お皿が飛び交う事態になる可能性は低いといえます。

ただ、お皿が飛び交う事態を必ず防げるというわけではありません。もしもサービスしている最中に突然激しい揺れが発生した場合には、お皿が飛び交う事態は容易に起こるでしょう。

ちなみにシンガポール航空は世界的にも評価されているエアラインで乗務員の訓練も厳しいことで有名ですし、安全対策も抜かりがなかったはずです。そんなシンガポール航空でさえこれだけの被害が出たことを考えると、乱気流の恐ろしさを再認識させられます。

ーでは乗客が気を付けるべきことはなんでしょう?

やはり1番はシートベルトの着用を忘れないことです。自動車でもそうですが、突然大きく揺れると自分の身体が浮いたり飛ばされてしまうことがあり、ケガの原因となります。しかしシートベルトを着用していれば、このように身体が不意に動かされた際にケガをするリスクを抑えられるのです。

とくに飛行機に慣れていない人や子どもはシートベルトの重要性が分からず、シートベルトを外してしまうかもしれません。そのため、同行者の分まで気を付けてもらえると、より安全なフライトとなります。

また、シートベルトに限らず客室乗務員が乗客へのお願いは、機内の安全・乗客の安全を守るためのお願いです。例えば「手荷物は上の物入れに収納してください」や「お手洗いの使用はご遠慮ください」など乗客に言うことがあります。これらも全て安全のためのお願いなので、「え、そんなことで?」と思うことがあっても、どうか指示に従ってもらえるようお願いします。

(まいどなニュース特約・長澤 芳子)

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