自作銃の試し撃ちで猫を標的に 男に下された判決は けがをした猫はいまどうしてる? 

2023年暮れ、奈良県北葛城郡内の河川敷付近で、吹き矢のようなものが脚に刺さった猫がいました。この猫を発見した地元のボランティアさんは猫のあらゆるお世話をする会社「ねこから目線。」に相談。

後に「ねこから目線。」はこの猫を保護するのと合わせて、警察へ通報。猫に刺さっていた矢状のものを証拠品として提出するとともに、NPO法人「どうぶつ弁護団」の虐待情報提供窓口にも連絡しました。

■「銃を作るのが趣味」の男が猫を撃った

どうぶつ弁護団は通報を受け、警察に告発。警察が地元で迅速に捜査をしたことで、早期の解決につながりました。

逮捕された地元の男は、銃を作るのが趣味といい、自作の試し撃ちで猫を標的にしたといいます。「撃った猫は食べるつもりだった」と供述したとの情報もあり、多くの人が悲しみ、そして憤りました。男は2024年4月11日に懲役1年6か月、執行猶予3年の判決が言い渡されました。

■「猫の保護と証拠の採取はうちと動物病院で」

判決の法廷には、通報した「ねこから目線。」代表らも傍聴。代表は多くの報道陣から取材を受け、「絶対にあってはならないこと」としながら通報までの経緯をメディアを通して語りました。

当初、ボランティアさんは、撃たれた猫の脚から吹き矢のようなものの一部を抜いたと言います。しかし、「ねこから目線。」代表はこんなふうに返したそうです。

「仮に猫の体に刺さっている物を抜いてしまうと、かえってけがが悪化する恐れがあります。どれほどのものが、どんなふうに刺さっていたかの証拠を失う可能性もある。そのため、猫の保護と証拠となる矢の採取は、うちと動物病院に任せてほしい」

けがををした猫を迅速に保護し、証拠を確保し、治療と合わせて通報。これらの経緯から、今回の事件の解決、そして有罪判決へと繋げることができたのでした。

■良かれとした行動が手がかりをなくしてしまうことも

代表は「どう見ても人為的に動物がけがをさせられているケースでも、良かれと思って証拠となる物を取り除いてしまったりして、警察に届ける際には手がかりがなくなってしまっているケースも残念ながら多い」とも話します。

そうならないためにも、動物が虐待されているとおぼしき場面に遭遇した場合、すぐに保護団体をはじめ、「ねこから目線。」や「どうぶつ弁護団」のような団体に通報し対処を仰ぐべきだとも教えてくれました。

■撃たれた猫は完治後、発見した餌やりさんに引き取られた

逮捕そして有罪判決となったこの事件。前述の通り「ねこから目線。」と懇意の動物病院が約2カ月間の治療を行いました。完治した後、最初に連絡をしたボランティアさんがこの猫を迎え入れることとなり、安心して過ごせる「ずっとのお家」もつかむことができました。

動物を虐待する人間…動物好きにはそうした行為は全く理解できないことですが、いないと言い切れないのが現実です。それでも絶対に許されない行為であることには変わりなく、そういった場面に出くわすことがあったら、代表の言うような行動を取ることが何よりも動物のためと言って良いでしょう。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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