高齢の飼い主が救急搬送、帰らぬ人となり残された猫→新しい飼い主の元へ 保護団体「転ばぬ先の杖の愛情を」
■80歳を過ぎた人が4歳の猫を飼っていた!?
ララちゃん(6歳・メス)は、キジトラの可愛い女の子。一人暮らしの80歳を過ぎた高齢の女性が飼っていた。ところが、2022年2月、飼い主が転倒して怪我をし救急車で運ばれ、そのまま帰らぬ人となったという。
しかし、なぜ80歳を過ぎた人が当時4歳だった猫を飼うことになったのか。愛護団体NPO法人ねこけん(以下、ねこけん)にレスキューを依頼した女性の友人が経緯を話してくれた。
「女性は生活保護を受けながら集合団地で暮らしていました。猫繋がりで友達になりました。この地域の新聞配達の人が猫を拾っては譲渡していて、その人からララちゃんをもらったと聞きました。ララちゃんは飼い主の女性には慣れなくて、私には懐いていました。女性が生きている時から朝夕1時間くらいずつごはんをあげたりトイレの掃除をしたりして猫の世話をしていました。女性が亡くなってからも1ヶ月くらい世話をしていましたが、私も高齢で、猫を飼うことはできないので保護を依頼しました」
■転ばぬ先の杖
飼い主亡き後にも、友人が世話を続けてくれたので生き延びることができたララちゃん。深夜に保護に行くと、女性が亡くなってから1ヶ月以上経つが、室内には強烈なタバコの匂いがした。ララちゃんはタバコの匂いを嫌がって懐かなかったのかもしれない。
女性は猫は好きなのだが、抱っこしたり撫でたりすることはなかったという。ただ、室内には猫のおもちゃもあり、可愛がっていた名残はあった。
ねこけんのメンバーは言う。
「今回はたまたま女性の友人が合鍵を持っていて、部屋に上がって世話をしてくれていたから良かったのですが、誰も気が付かないまま猫だけ部屋に取り残されることもあります。80歳を超えた人がペットを飼う場合は、ペットを飼える施設で飼うか、後見人などにペットを託す契約を結ぶなどしておかないとペットは亡くなってしまうかもしれません」
「私は元気だから」、「そんな縁起でもないことを考える必要はない」という人もいるでしょう。誰しも 自分の「万が一の時のこと」は考えたくないかも知れません。しかし、誰でもいつ何があるか分からない。
「自分に万が一のことが起きた時、愛する家族が悲劇にあわなように、愛する家族がその後も幸せに生きられるように、『転ばぬ先の杖』という愛情をお忘れなく!ララちゃんは幸いにして人懐っこいこともあり、その後、譲渡会で新しい家族が見つかりました」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)