庭先で生まれた子猫 小さな命を脅かす猫伝染性腹膜炎を患っていた 84日間の治療後に奇跡の寛解 そして新しい家族のきずな
和歌山県内のとある民家の庭先に、外猫が遊びに来るようになりました。
家主が「お腹を空かしているんじゃないか」と餌をあげていたところ、庭先で5匹の子猫が生まれ、家主はのちに地元の保護猫団体・城下町にゃんこの会に保護依頼をしました。
■「家族」が見つからない黒い子猫、重篤な病気が判明
保護した5匹の兄弟のうち、黒猫のいちごちゃんを除いて続々と「家族」が決まりました。しかし、いちごちゃんには縁がなく、そして風邪をひいたり体重が増えなかったりと、病弱な様子がうかがえました。
後に動物病院で診てもらったところ、「FIP(猫伝染性腹膜炎)」を発症しているという診断。子猫の場合は特に命にかかわる重篤な疾患です。発症から数日から1カ月ほどで亡くなってしまうこともある恐ろしい病気です。
■長期治療とSさんのサポート
その後、いちごちゃんは医療的知見がある預かりボランティアのSさんの家に移動。ここから長期に及ぶ治療生活が始まりました。
この治療中、体力はもちろん免疫力も低下し肝臓障害を起こしたり、猫風邪を患ったりと、いちごちゃんは日々病気と戦い続けました。
Sさんの諦めない思いと献身的なサポートによって、84日間の治療を終了。その後、約3カ月ほどの経過観察後の診断結果は、見事「FIP寛解」というものでした。寛解とは、症状が軽減または消失することを指します。
いちごちゃんが病気を乗り越えたことに、スタッフは小躍りするほど喜び、寄り添ってくれたSさんには感謝の気持ちを伝えました。
■生還と同時に、幸せもつかんだ
さらにいちごちゃんにとってうれしい知らせもありました。ずっと献身的にいちごちゃんの世話をし続けたSさんが、「いちごちゃんの本当の家族になる」と申し出てくれたのです。
いちごちゃんは重篤な持病からの生還と同時に、さらに幸せもつかむことができたというわけです。
今では、Sさんの家にいる先住猫のチャイムくんと何をするのも一緒に過ごし、穏やかな猫生を送っているとのこと。さらなる未来のいちごちゃんも、このままずっと健康で元気に過ごしてくれると良いなと願うばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)