「夫と何日も口を利いていない…」夫婦喧嘩後に、無視され続けて悩むあなたへ「このまま離婚するしかありませんか?」【専門家がアドバイス】
夫婦喧嘩で激しい口論などをした後に、相手を無視する夫や妻がいます。相手が謝っても無視し続ける人もいて、精神的に疲れ、「もう離婚しかないのだろうか」と悩んだ経験のある夫や妻も少なくないでしょう。夫婦喧嘩で相手を無視する人の心理や、仲直りの方法などを紹介します。
■夫婦喧嘩後に無視されて疲れたらどうする?
夫婦喧嘩で激しい口論になるのは、よくあることです。特に子どもが小さく、子育てが大変な時期はお互いに一生懸命やっているつもりで余裕がなく、つい、相手が楽をしているように見えることもあります。そのため、つい声を荒らげたり、相手を非難してしまったりするのです。
そうした喧嘩も、互いに不満をぶつけあった後に仲直りできればいいのですが、中には喧嘩がひと段落した後も無視し続ける夫や妻がいます。時には口論中に、ぷいと横を向いて黙りこみ、そのまま何日も口を利かないというケースもあるようです。こうした夫婦喧嘩後に無視をする夫や妻の心理や、仲直りするための方法などをカウンセラーが紹介します。
■夫婦喧嘩後に無視をする心理とは
夫婦喧嘩の最中や、ひと段落した後に、相手を無視し始める夫や妻は、どのような心理状態なのでしょうか。よくある心理状態を3つ紹介します。
▽怒っていることを伝えたい
夫婦喧嘩後も夫や妻が相手を無視し続けている場合、「今、怒っている」「納得していない」という怒りや不満を態度で表現している可能性があります。言葉では分かってもらえないので、相手を懲らしめてやろうと思っているのです。
他人から無視されることは精神的に相当応えます。無視されたほうにも「相当怒っている」というメッセージはすぐに伝わります。しかし、こうした態度はモラハラやいじめと紙一重です。相手が精神的に追い込まれ、夫や妻の顔色をうかがいながら生活するようになってしまうかもしれません。
▽考えを整理できず何も言えない
喧嘩をしたときに、次から次へポンポン言葉が出てくる人がいるのに対し、考えをまとめないと言葉にできない人がいます。そうした人は、口下手なことが多く、口喧嘩中でも急に押し黙ってしまうことがあります。高ぶった感情を鎮めようとしている場合もあるでしょう。
感情を抑え、考えをまとめなければ、しっかり話せない人に「どうして黙っているの」「何か言ったらどう」などと追い打ちをかけると、最後は感情を抑えきれなくなってしまい、感情的になったり、相手を無視したりすることがあります。これは、自分が冷静になろうとしているのに、感情的な攻撃をやめない相手に対する抗議です。
▽話す気分にならない
相手を無視するのは、「もうこれ以上、話す気がしない」という意思表示かもしれません。互いに感情的になると、話は平行線になりがちで、最後はどちらが相手を打ち負かすのかを競うような状況になることがあります。そんなとき「こんな言い合いをしても無駄だ」と気付いたほうが口をつぐむのです。
自分は「もう話しても無駄だ」と思っているのに、相手が一方的な主張を続けていると、「もう疲れた」と嫌気がさしてきます。相手を軽蔑したり、嫌いになったりすることもあるでしょう。そのまま、相手を無視する状態が続くと、愛情も失われていくかもしれません。
しかし、自分が考えている相手の気持ちと実際の気持ちは異なる場合もあります。正しい分析ができずに間違った対応をすると、状況がより悪化してしまうことも…。
■夫婦喧嘩後に無視が長期間続くと離婚の危機?
夫婦喧嘩の後も、相手から無視された状態が続くとどうなってしまうのでしょうか。「もうこのまま、一生冷え切った関係が続くのか」「離婚することになるのではないか」と不安になる妻や夫もいるでしょう。無視の期間が長く続くと、離婚の危機を迎えるのか。無視が長期間続いた場合の影響を説明します。
▽相手が離婚を考えている可能性も
無視をする期間が、2,3日どころか、数カ月、半年以上も続くことがあります。こんなとき、相手はもう夫婦関係を修復するのをあきらめ、離婚を検討している可能性があります。既に、弁護士に相談するなどして準備を進めていることもあります。
もし、離婚を回避したいのなら、早期に関係修復を図ることが大切です。自分も意地を張っているのなら、少しずつ歩み寄る姿勢を見せましょう。もし、相手が離婚を考えていても、喧嘩したくらいでは相手の合意なしに離婚はできません。心配なときは、夫婦関係に詳しいカウンセラーや弁護士に相談するといいでしょう。
▽精神的な疾患につながる恐れも
家族に無視されるというのは、精神的につらいものです。一方で、無視する側も平静ではいられません。お互いにストレスがたまり、家にいても心が休まりません。こうした状態が続くと、精神的に不調を来たすことがあります。気分の落ち込みや不眠、不安が続くようなら、心療内科や精神科を受診しましょう。
もしかすると、無視を続けている相手側は、既にメンタルに問題を抱えているのかもしれません。相手の体調を気遣い、相手の言動に注意を払うことも必要でしょう。とにかく、家庭を心休まる場所に戻すために手を打つ必要があります。
▽子どもに悪影響が出ることも
夫婦の間で、相手を無視するような状況が続くと、子どもの成育や心理に悪影響を及ぼす可能性があります。家族の間で相手を何日も無視して、口を利かない状況は普通の事ではなく、それを目の当たりにした子どもは、悲しさや寂しさ、つらさを覚え深く傷つきます。両親が離婚するのではないか、と不安を覚える子どももいるでしょう。
両親が不仲の家庭では、子どもは居心地の悪さを覚え、家に帰っても心は安らぎません。そんな不安を抱え続けていると子どもは、問題行動を起こすこともあります。親の姿を見て、平気で他人を無視するような性格になってしまう可能性もあります。子どもの成長を考えれば、早く元の夫婦関係を取り戻すべきでしょう。
■夫婦喧嘩後に無視された相手と仲直りする方法
夫婦喧嘩を機に相手から無視されるようになってしまったら、どのように仲直りしたよいのでしょうか。仲直りする方法を3つ紹介します。喧嘩のいきさつや相手の性格も考えながら、効果がありそうな方法を試してみてください。
▽様子をうかがい冷却期間を置く
夫婦喧嘩中に無視されたり、喧嘩後も無視が続いたりしている場合は、相手は感情的になっている可能性があります。とりあえずは、相手の気持ちが落ち着くまで様子をうかがい、冷却期間を置きましょう。冷静になれば、相手も「大人げないことをしてしまった」と反省してくれるかもしれません。
ただ、相手にモラハラ気質がある場合は要注意です。モラハラ気質の人は、相手が自分の顔色をうかがうようになることで、相手を支配しているように感じます。無視をすれば、自分に気を使ってもらえると思って、ますます冷たい態度を取るようになるかもしれません。そのときは、無視されても気にしない態度で受け流すことが必要です。
▽相手を理解する
夫婦喧嘩の後も、相手が無視を続けているのは、なにか大きな不満を抱えているのかもしれません。直接聞いて、答えてもらえれば、そこから話し合いも始められますが、答えてもらえない場合は、まず相手を理解することから始めましょう。
冷静になって喧嘩の内容を振り返れば、相手が何に不満なのかわかるかもしれません。そうでなくても、時間をかけて、夫を理解しようとすれば、相手もそうした態度に気付いてくれるはずです。相手が軟化したタイミングをとらえて、相手を理解したいことや仲良くやっていきたいことを伝えましょう。
▽お互いが興味のある話題を自然に切り出す
相手に無視されるようになった後、しばらくして互いに冷静になったら、2人の共通の話題などで声をかけてみましょう。喧嘩とは全く関係のないことを、さりげなく話すと、相手も返事をしてくれるかもしれません。もし、相手が普段通りに会話をしてくれたら、一言「この間はごめんなさい」と言ってみてもいいでしょう。
特によい話題がないときは、食事に誘ってみたり、相手の好きな料理を作ってみるのも良い方法です。一緒に食事をすると互いにリラックスできるものです。子どもがいるのなら、子どもの様子や頑張りなど楽しい話をしてみると、案外話が弾むかもしれません。
■夫婦喧嘩後に無視されたときのNG行動
相手に無視されたときに、相手の気持ちを逆なでしてしまう言動もあります。そうしたNG行動をしてしまうと、ますます関係がこじれ、関係修復が困難になってしまうかもしれません。相手が口を利かないときのNG行動を3つ紹介します。
▽無視している理由を問いただす
相手が無視したときに、むきになって「どうして無視するの?」「逃げないでよ」などと相手を責めてはいけません。相手は爆発しそうな感情を抑えるために黙っているかもしれませんし、冷静になろうとして口を利かないのかもしれません。そんなときに、しつこく迫ると相手は感情を爆発させてしまう恐れがあります。
そもそも、相手にしつこく迫っているときは、自分も冷静ではありません。冷静でなければ、いつ暴言を吐いてしまうかわかりません。感情に任せて「もう離婚しよう」などと言ってしまえば、取り返しのつかないことになる恐れがあります。喧嘩したときほど、早く冷静さを取り戻しましょう。
▽とりあえず謝っておく
相手に無視されたときに、「とりあえず謝っておこう」と安易に謝るのは逆効果になる可能性があります。きちんと、自分のどこが悪かったのか反省して謝るのならいいのですが、「とりあえず機嫌を取るために謝っておこう」という態度では、そんな気持ちを見透かされます。
謝罪に心がこもっていないと感じたら、相手はバカにされたような気がして、感情を害するかもしれません。「口先だけで何もわかっていないじゃないか」と不信感を募らせることもあるでしょう。謝罪するのであれば、相手の気持ちを理解したうえで、誠実に謝罪しましょう。
▽自分も無視し返す
最もやってはいけないのが、無視されたら、こちらも無視をするという態度です。まるで子どもじみた反応ですが、「そっちがその気なら、こっちも」という気持ちになる人は少なくありません。これでは、いつまでたっても仲直りの糸口はつかめません。互いに折れずに、何日も冷戦が続くこともあるでしょう。
無視をするというのは、相手を精神的に追い込み、心を傷つける行為です。「自分はそんなことはしない」と決め、冷静に対処しましょう。
■夫婦喧嘩後に無視されて悩んだら、専門家に相談しよう
夫婦喧嘩の後に、何日も相手から無視されるとつらいものです。仲直りしようと声をかけても口を利いてもらえないと、心が折れそうになります。相手がモラハラ気質でない限り、相手は感情的になっているはずですから、気分が落ち着くのを待って仲直りの糸口を探しましょう。
相手にモラハラ気質がある場合や、離婚をほのめかしている場合は問題の解決は容易ではないかもしれません。夫婦問題に詳しいカウンセラーや弁護士といった専門家の手も借りると、よい解決法が見つかるかもしれません。
夫婦であれば、喧嘩後に数日間口をきかなかったり険悪な雰囲気のまま過ごしたりすることもあるでしょう。
その場合、多くの人が「自分から謝ったり話しかけたりすると負けたような気がする」という無意味なプライドや感情に拘っており、本来望んでいる「平穏」や「安心感」という目的を見失っている状態だと言えます。
無視を決め込むのではなく、本来の目的を思い出し、今後同じ繰り返しをしないための対策を話し合いましょう。
◆高草木 陽光(たかくさき・はるみ)夫婦カウンセラー/課題解決型マッチングメディア「リコ活」専門家
これまで9,000人以上のカウンセリングを行い、夫婦問題・家族問題で悩む人を解決に導くお手伝いをする夫婦カウンセラー。美容師、育毛カウンセラーを経て、結婚して専業主婦となるが、夫の束縛や価値観の押し付けに違和感を覚え「結婚生活とは何か」ということを深く考え始める。書籍に「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」(左右社)、「心が折れそうな夫のためのモラハラ妻解決BOOK」(左右社)、メディア実績にNHK総合「あさイチ」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」、テレビ朝日「羽鳥慎一 モーニュングショー」、「ABEMA Prime」などがある。
(まいどなニュース/リコ活)