「中小企業診断士」資格取得しキャリアチェンジ! 建設業→コンサルに転職し年収アップ→そして独立 “成功の秘訣”を聞いてみた
資格の学校TACが公式サイトで公開している2024年『人気資格ランキング』によると、1位・簿記検定、2位・社会保険労務士、3位・税理士に続いて、4位に中小企業診断士がランクインしています。人事・労務管理・社会保険のエキスパートである社会保険労務士や、税務・会計のスペシャリストの税理士と比べ、中小企業診断士はどのような資格なのかイメージできない人も多いでしょう。そこで中小企業診断士の資格を活かして昨年独立開業された藤尾竜馬さんに話を聞きました。
ー中小企業診断士とはどのような資格なのでしょうか
経営戦略や人事、マーケティング、財務・会計、法務、製品管理、ITなどの経営全般に関する知識を幅広く学ぶ資格です。国家資格ではありますが、社会保険労務士や税理士などの独占業務がある資格とは違い、中小企業診断士の資格がないとできない業務はありません。
私がこの資格を取得した時は、独立・起業を目的にしていた人よりも、現在の仕事に活かそうとする人の方が多かった印象です。
ー中小企業診断士を取得しようとしたのはなぜですか
当時、私は建設業界で営業職に携わっており、企業を相手に新規の契約を獲得するために奔走していました。営業職として働くなかで、今後のキャリアプランを考え、国家資格を何か取得したいと思うようになったのです。とくに独立を意識したのではなく、今後のキャリアに活用できるものを求めた結果、中小企業診断士を選びました。
ー資格取得のためにはどのような勉強をしましたか
中小企業診断士を取得するには1次試験と2次試験に合格する必要があります。1次試験は「経済学・経済政策」「財務・会計」「企業経営理論」「運営管理」「経営法務」「経営情報システム」「中小企業経営・政策」の7科目。1次試験に合格すると、15~200文字程度の記述式による筆記試験と、10分程度の口述試験からなる2次試験を受験します。
私の場合は、最初の1年間は資格の学校に週に1度通い、その後の2年間は過去問をひたすら解くという方法で学習しました。勉強を始めて1年目で合格する人もいますが、自分の場合は3年かかりました。費用もおおよそ30万~40万円かかりましたね。
ー資格取得後の仕事への影響は
当時勤めていた会社には資格手当というものはなく、自分自身もその会社で資格を活かそうと思っていなかったので、取得したことを報告しませんでした。ただ資格の勉強をしているうちに、コンサルタントとして働きたいと考え始め、資格取得から1年後には転職しました。この転職で当時年収は30%ほどアップしました。
ーその仕事では中小企業診断士は役に立ったのですか
コンサルタントとして働いている時のお客さまは、経営者などの決裁権者であることが多かったです。そのため、名刺に「中小企業診断士」と書かれていると信用されやすいと感じました。もちろん資格のための勉強で得た幅広い知識が、コンサルティング業務でも役立ったのは間違いありません。
ー昨年、独立した経緯はどのようなものだったのでしょう
コンサルタントとして働くうちに、独立してもやっていけるのではないかと手応えを感じたのがきっかけです。ただ、コンサルタントはやりつくした感もあったので、現在の補助金支援を業務の中心に据えることにしました。専門分野を絞ったことが功を奏したのか、ありがたいことに収入も順調に増やすことができています。
ー中小企業診断士を活かせるのはどんな人でしょう
独占業務を持っていない資格であるため、この資格を取得すれば上手くいくというものではありません。正直、資格取得だけで稼げるかと聞かれたら、難しいと答えます。しかし、幅広い知識を勉強することができるので、業務の中で活用できる機会は多いはずです。また、弁護士などの資格を持っている人が、企業向けの仕事を強化するためにこの資格を取得することもあるようです。
◆藤尾竜馬(ふじお・りょうま)中小企業診断士 経済産業省認定支援機関として、補助金サポートに特化した事業を行う。補助金支援件数は延べ80社超。個人事業主の方から、中小企業まで様々な規模・業種の補助金サポートを行っている。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)