これはニャんだ? 人間の指に首をかしげた子猫 野生味強めの性格から一転、幸せつかんで優しい顔に
和歌山県内のあるエリアで、城下町にゃんこの会が主催する大規模なTNR(Trap-Neuter-Return)活動が実施されました。この活動では、40匹もの外猫が対象となりました。
対象となった猫たちは避妊去勢手術を受け、その後、大部分は元の場所にリターンされました。しかし、例外的に「生まれて間もない子猫」、「持病のある猫」、そして「特に人馴れしている猫」はリターンされず、「保護」に変更されました。これらの猫たちは、城下町にゃんこの会でお世話を受け、「ずっとのお家」探しを目指すこととなりました。
■その威嚇具合はスタッフも怯んでしまうほど…
その中でも、生後2カ月ほどのグレーの子猫、くうちゃんは特に注目を集め増田。くうちゃんは全く人間に馴れておらず、ケージの中からスタッフに向かって「シャー、シャー」と威嚇していました。体は小さいですが、その目つきは鋭く、飼い猫とは違う野生の本能を感じさせます。
これまで多くの子猫を保護してきたスタッフでさえも、くうちゃんの威嚇にはたじろぐほど。しかし、くうちゃんの将来のためにスタッフは恐れず向き合い、慎重に接触を続けました。やがて、くうちゃんはスタッフの姿に少しずつ馴れていきました。
■野生味溢れる表情から、優しい表情に
最初は少し不思議そうな表情を浮かべ、くうちゃんは人間という未知の生き物を理解しようとしていました。ケージ越しに差し出された指を見つめ、まるで別の生き物のように感じていたのでしょう。首を傾げながらそっと優しく猫パンチを繰り出す姿は、なんとも微笑ましいものでした。
くうちゃんの眼は依然として鋭いですが、ここでは威嚇や攻撃性は見られません。むしろ、興味を持っているようで、延々と指にアプローチし続けます。
こんなスタッフとの日々の生活を経て、くうちゃんの元に里親希望者さんから「うちにおいで」の声がかかり、「ずっとのお家」を掴むことができました。
当初は、野生味溢れるくうちゃんでしたが、その表情は随分と変わり今では里親さんの元で優しい表情を浮かべ穏やかに過ごしています。
くうちゃんにとって「敵かもしれない」と思っていた人間に対し、「味方」だと信じてくれたことが何より嬉しいです。その幸せな猫生がいつまでも続くことを願っています。
(まいどなニュース特約・松田 義人)