鼻水をたらし、黒い毛は赤茶色に変色 工場地帯にいたボロボロの猫、保護されると…ふんわり長毛のイケメン猫に
クロモンくんは、埼玉県某所、工場地帯の従業員さんの休憩所のあたりで生きていた。地域猫として誰かが管理しているわけではないが、そのあたりにはダンボールで作った猫ハウスがあり、ごはんのボウルも置いてあった。
2020年2月、その地域の人から愛護団体NPO法人ねこけん(以下、ねこけん)に、「猫風邪をひいて鼻水をたらしているボロボロの猫がいる。保護したい」という相談があった。
近くにいた従業員に話を聞くと、その猫は「いつもこの辺りにいる」ということだった。近所の人も、「2匹いるよ。1匹は鼻水がたれて汚いんだよ」と言っていた。
猫風邪といえども、外猫にとっては命に関わることもある。鼻が詰まり、食欲が無くなり、衰弱していくのだった。
ねこけんはすぐにあたりを捜索。墓地のところにクロモンくんがいるのを発見した。ちゅ~るを持って近づくが、すぐに逃げられてしまった。
「休憩所のそばにいつもいるというのでしばらく待機していたら姿を現しました。捕獲器を仕掛けたところ、意外にもすんなり捕獲できました。長毛の黒猫だったのですが、鼻水とヨダレで口の回りはべとべとでした」
保護部屋に連れて帰って、顔以外の毛を丸刈りにすると大きなノミがわさわさ出てきた。
「痩せているわけではありませんが、栄養状態が悪いのか被毛が赤茶色に変色していました。ごはんをもらっていても、外で生きることはとても過酷なんです」
■ふんわり毛が生えそろって
2020年9月、クロモンくんの丸刈りにされた毛もふんわり生えてきてイケメンの猫になった。今まではシェルターで暮らしていたが、メンバーHさんの家で預かり猫として暮らすことに。クロモンくんにとって、初めて普通に生活する人と暮らす毎日だった。
朝、起きたら「おはよう」と言ってもらえるし、お昼寝していてもHさんの気配を感じられる。時々お留守番もするが、Hさんは必ず帰ってきて撫でてくれる。人と家族として暮らすことを覚えたクロモンくん。
やがてクロモンくんは、本当の家族を探すべく譲渡会にデビュー。優しい里親さんのもとで暮らしているという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)