がりがりに痩せたジャック・ラッセル・テリア おっちょこちょいの老犬はみんなを笑顔に変える 心優しき人と運命の出会い
2024年春、神奈川県動物愛護センターにメスのジャック・ラッセル・テリアが収容されました。推定10歳ほどのメスで、後に職員によって「花菜(はな)」と名付けられました。
どんな経緯でセンターに収容されたのかはわかりませんが、人馴れし、聞き分けも良いことから、飼い主から意図的に棄てられた可能性が考えられました。また、収容されるまでどれだけ放浪していたのかはわかりませんが、ガリガリに痩せていました。
■支援フードをぱくぱく
保護したアイドッグ・レスキュー隊では、まず花菜にたっぷりの栄養を取ってもらおうと、事務所に連れて帰りました。スタッフは用事を済ませるため、花菜をフリーにして遊ばせていましたが、その間に花菜は事務所内の支援フードを自ら見つけて食べ始めました。「これ食べちゃいました」「別に悪いこととかしてませんよね?」と悪気がなさそうな花菜に、スタッフも叱る気になれず、笑ってしまいました。
その後、預かりボランティアさんの家に迎え入れられてからも、花菜はまたもご飯を見つけて勝手にぱくぱく。トイレの際も「私できてます」という表情をしながら、トイレシートからはみ出してしまうこともあり、そのマイペースさとおっちょこちょいな姿に周囲は笑顔が絶えませんでした。
■「迎え入れたい」という申し出
こんなに明るくかわいい花菜ですが、実はセンター職員から「肝数値が高い」と聞かされていました。動物病院での検査の結果、健康状態に異常はありませんでした。これを受け、里親募集をスタートさせたところ、程なくして「花菜を迎え入れたい」という申し出がありました。
里親希望者さんは、2カ月前に長年飼っていたワンコを看取り、深い悲しみの中にいました。「もっとこうしてあげれば良かった」「あのときこうしてあげれば良かった」と後悔し、「こんなに辛い気持ちになるのはイヤ。もうワンコは飼わない」と考えていたそうです。しかし、花菜がシニア犬として行き場を失い彷徨っていることを知り、その考えが少し変わっていきました。亡くなった先住犬に対し「別のワンコを迎えて良いのだろうか」と悩みましたが、ここで一大決心。花菜の里親希望を申し出たのです。
初めてこの人会った花菜は運命を感じたのか、すぐに真っ直ぐな瞳で見つめ、抱っこされてうれしそうな表情を浮かべました。こうして花菜は新しい家で第二の犬生の一歩を踏み出すことになりました。
新しい家でも花菜はマイペースでおっちょこちょい。そのぶりはさらに高まり、部屋中を遊びまわりおもちゃを散らかすこともあるそうです。それでも花菜が元気になり、幸せになってくれたことは本当に良かったです。これからも花菜らしく、幸せな犬生を送ってほしいと思います。
(まいどなニュース特約・松田 義人)