近所の人から石を投げられていた子猫を救え! つらい経験から物静かで臆病に…でも「この子しかいない!」と幸福な出会いを果たした今

■石を投げられていた子猫

2023年4月1日、大阪市内の住宅街での出来事でした。空き家の室外機の下から子猫が3匹見つかり、どうしたら良いかと瓜破ねこの会の井田さんに連絡が入りました。井田さんたちは、子猫たちを見つけてくださった方のもとへ急ぎました。

「見つけてくださった方は猫好きでしたが、ご近所の方々は猫を嫌い、石を投げたり、ブロックで室外機の下から出られないようにしたり、水をかけたりしていました。この場所はカラスも多く、時には子猫の首だけが落ちていることもありました」

母猫と子猫を捕獲する際も、「何してるねん!」と大声を出して邪魔をする人がいて、大変な思いをしたそうです。その日は全ての猫を捕獲できませんでしたが、翌日、見つけてくださった方が頑張ってくれたおかげで無事に捕獲することができました。母猫と姉弟の1匹は見つけてくださった方が飼うことになり、残りの子猫、みゆちゃんと弟のミル君は里親募集に出されることになりました。

みゆちゃんは里親が決まりましたが、ミル君は今でもとても怖がりで逃げてしまうため、譲渡会に参加できず、井田さん宅に残っています。寝る時には甘えて寝ますが、井田さんが動くとすぐに逃げてしまいます。

■新しい家族

みゆちゃんの里親Eさんは、以前から保護猫を探していました。

「元々2匹の保護猫を飼っていましたが、1匹を闘病の末に亡くしたため、残った猫が落ち着かなくなり、噛み癖や爪研ぎ、夜泣きをするようになりました。先住猫が寂しさから解放され、落ち着いてくれることを願って、新たな友達としてもう1匹の猫を迎えたいと考えていました」

Eさんは保護団体主催の譲渡会に3回ほど足を運びましたが、なかなかご縁に恵まれず困り果てていました。そこで以前にお世話になった井田さんに相談しました。井田さんはあちこちに声をかけてくださり、時間はかかりましたが、最終的に「うちの家族になってほしい!」と思える1匹に出会えました。

「先住猫は多頭崩壊から保護されたため、ご飯をもらうためにアピールしなければならず、いつも大きな声で鳴いて人に付きまとっていました。次に迎える猫は物静かであまり鳴かない子が希望でした。みゆちゃんはお外で生まれ、辛い経験から声を出すことを控えていたようで、とても物静かで臆病な女の子でした。一目見た瞬間、『この子しかいない』と感じました」

■いつも一緒、みゆちゃんの新生活

みゆちゃんがEさん宅に来た直後は、怖がって自分でご飯を食べなかったので、Eさんは心配しました。しかし、みゆちゃんは次第に膝の上でぐるぐると喉を鳴らしてくれ、手渡しで少しずつご飯を食べてくれるようになりました。

「家族みんなで静かに見守りながら、みゆちゃんが少しずつ慣れてくれるのを待ちました。みゆちゃんの名前は家族みんなで悩んで決めました。かすれた小さな声で『みゅ…』と鳴くことが由来です」

みゆちゃんは猫風邪を引いたり、その風邪が先住猫にうつったりといろいろありましたが、今では先住猫よりも体重が増え、大きくなりました。それでもその鳴き方は健在で、どんなにお腹が空いていても小さな声で「みゅ…」と鳴き、冷蔵庫の前でお行儀よく座って待ちます。

先住猫とはべったり仲良しというわけではありませんが、いつも同じ部屋で過ごし、お互いに視界に入る位置にいます。ご飯の時や遊びたい時は、2匹でチームプレイでアピールします。寝る時は先住猫がEさんの足元に、みゆちゃんはEさんの脇の下に入って寝ます。

みゆちゃんが来てから、家族の毎日はさらに楽しくなったそうです。

「大好きだった猫を亡くし、もう猫を迎えるのは無理かもと思っていた時期もありましたが、みゆちゃんのおかげで毎日が幸せです。これからもみゆちゃんと一緒に、静かで幸せな日々を過ごしていきたいと思います」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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