まるで使い古されたモップ 繁殖場で道具扱いされたマルチーズ 真っ白の姿に生まれ変わり 春とともに届いた朗報
オスのマルチーズ・こたろうが過ごしてきた繁殖場での10年間。彼は単なる「道具」として利用され続けました。2023年11月、保護団体「アイドッグ・レスキュー隊」により救出された日、スタッフは彼の姿を見て言葉を失いました。
こたろうの体は使い古されたモップのようにボロボロで、異臭を放っていました。
■真っ白の毛を取り戻してくれた
保護後すぐにこたろうは愛情いっぱいのケアを受けました。体を清潔に洗ってもらい、トリミングも受けました。毛玉を引っ張られるのが痛いのか、少々嫌がる素振りを見せましたが、真っ白な毛並みを取り戻したところで、こたろう自身もうれしそうな様子で、人間の周囲をグルグル。飛びつくように甘えてきました。
その後、動物病院での診断結果は、幸い重篤な持病はなく、初期の白内障と歯の欠如以外は年齢相応の健康体でした。預かりボランティアさんのもとで過ごし始めたこたろうは、10歳にして初めてのトイレや散歩のトレーニングに励みました。
■10歳にして「飼い犬」トレーニング
10歳にして「飼い犬」として必要なことを初めて覚えさせるのは少々かわいそうにも思えますが、特に散歩は大好きのようですぐにマスターしました。外だけでなく部屋の中のケージやクレートも大好き。2つの「お家」を気分で使い分け行ったり来たりして、とにかくうれしそうです。日差しを浴びながらチョコチョコ歩く姿は見る人を感動させました。
元繁殖場での10年間がどういったものかは分かりませんが、ワンコとしてのごく普通の日常が、こたろうにとってとびきりの喜びでした。ご飯もよく食べ、保護から2カ月も経たずにふっくらとした体になりました。
■洋服を着せてもらった
しかし、冬の寒さはこたろうには厳しく、震える姿も見られました。そこでボランティアさんは何着もの防寒着を購入し、こたろうはまるでモデルのように次々と新しい洋服を楽しむようになりました。
半年が過ぎ、迎えた春。こたろうに「本当の春」が訪れました。里親希望者が現れ、トライアル期間を経て、正式に家族として迎え入れられることになったのです。
保護当時のボロボロの姿から一転、現在のこたろうは真っ白な毛並みと無邪気な笑顔で、新しい家族とともに幸せな生活を送っています。こたろうを支えた多くの人々は、こたろうの幸せな犬生を祈っています。
こたろう、本当に良かったね。笑顔いっぱいの犬生を送ってね!
(まいどなニュース特約・松田 義人)