自転車保険の加入が義務化、7割以上の県で実施に!保険なしで乗るとどうなる?→知らないと損する保険のこと
「『山口県自転車の安全で適正な利用促進条例』が制定(令和6年4月1日)され、本年10月1日からは自転車保険の加入が義務化されます」
こちらは先日、X(旧Twitter)に投稿された山口県警察(@YamaguchiPolice)によるポストです。最近警察署や地方自治体から同様の発信を見かけますが、皆さん自転車保険って入っていますか?
先日、筆者の友人の子どもが自転車を初めて購入することに。その際「自転車保険に入ってくださいって言われたけど……入るべき?」と聞かれました。調べてみると筆者が暮らす京都府のホームページには「京都府では、被害者の救済を図るとともに、加害者の経済的負担を軽減するため、『自転車の安全な利用の促進に関する条例』により自転車損害保険等への加入を義務付けています」とあります。
この自転車保険の加入義務は、全国的に行われていることなのか?そもそも自転車保険ってどんなもの?この疑問について、損保ジャパンのご担当者に聞きました。
■約70%の都道府県が自転車保険を加入義務化
ーー最近よく聞く「自転車保険への加入義務」ですが、いつから始まったんですか?
「この条例は2015年10月、初めて兵庫県にて導入されました」
ーーこれは都道府県単位で施行される条例なんですね。2024年現在はどれくらいの自治体で導入されているんですか?
「東京や神奈川、大阪をはじめ、約7割の自治体にてすでに義務化されていて、冒頭の山口県警の投稿のように今年の10月から施行される県もあります。自分の住む自治体の状況については、各自治体のホームページ等に掲載されています」
ーー義務化はどんどん進んでいるようですが、実際に自転車保険の加入者は増えていますか?
「実は損害保険には『自転車保険』という専用商品がありません。そのため、当社にはいつから加入者が増えているというデータは残念ながらございませんが、傷害保険に個人賠償責任特約(日常生活において、自身または家族が、偶然な事故により法律上の損害賠償責任を負担することにより被った損害を補償する特約)を付帯している契約が2021年3月末と比較して、2023年3月末時点で5%増と、増加傾向にあります」
ーー特約を付ける人が増えているのは、やはり意識が少しずつ変わってきるってことですかね?!でも「自転車保険への加入義務」を知らずに保険に入ってない人は結構いる気がします。これって罰則があるんでしょうか?保険無加入で事故を起こして相手に怪我をおわせた場合、最悪どんなことが想定されますか?
「2024年6月の現時点では、義務化の条例に反して未加入だった場合の罰則はありません。ただし、高額な賠償責任を負うような事故を起こしたにもかかわらず、賠償金を支払えなくなる可能性が考えられます。でも保険に加入していたため、カバーできたということは数多くあります。
例えば、以下のよう事例が挙げられます」
・自転車を運転中に通行人と接触してケガをさせてしまった
→個人賠償責任特約で相手へ賠償ができた
・子どもが徒歩通学中に自転車と接触し、けがを負った
→自身の傷害保険で通院費用が支払われた
■自転車保険 加入義務化に対応した傷害保険や自動車保険がある?!
ーーやっぱり怖いですね、無保険。でもSNSでの投稿などを見ていると、たまにしか乗らないから、自転車保険に入りたくないという人もいるようです。確かにそんな人は、加入をためらってしまうのかも…
「そんな方は、傷害保険や自動車保険、火災保険を見直してみるといいかもしれません。いま自治体で加入義務とされている自転車保険とは『個人賠償責任特約』が付帯されている保険の総称です。簡単に言えば、相手への賠償の補償です。
この個人賠償責任特約は、自動車保険、火災保険、傷害保険とさまざまな保険のオプションとして加入ができるので、こちらを検討されるのもおすすめです。ちなみに、個人賠償責任特約は、自転車事故の際の相手への損害賠償以外にも、日常的に発生し得る賠償事故(お店の展示品を壊してしまうなど)にも対応していますので、自転車にあまり乗らないお客さまでも、利用する機会があるかもしれません」
ーー自動車保険、火災保険にも?! それなら、自分が入っている保険を見直すことも大事ですね
「内容も保険会社によってさまざまですし、現在ご加入の保険契約に付帯されているケースもあると思いますので、きちんと確認することをおすすめします。
弊社の『UGOKU』という商品では、個人賠償責任特約に加えて、弁護士費用、自転車のレッカー費用までも補償されます」
ーー個人賠償責任特約は、自転車事故以外の事故も補償されるっていうことですよね?!
「はい、個人賠償責任特約は自転車事故の際の相手への損害賠償以外にも、日常的に発生し得る賠償事故にも対応しています。例えば、お店の展示品を壊してしまったなどにも対応していたりします」
■傷害保険で我が身を守ろう
ーーいろいろ保険があると思いますが、選ぶポイントはありますか?
「前述の通り自転車保険で加入義務とされている補償は、『相手への賠償責任保険』だということです。そして必須ではありませんが(=義務化されていない)、ご自身のケガの補償として、『傷害保険』の加入もお勧めいたします(子どもは自治体の医療費助成制度の内容によります)。保険の加入状況やニーズは人それぞれだと思いますので、ご自身に合った保険を選べるよう、代理店などのプロへ相談されるのが分かりやすいと思います」
ーー相手が無保険でも傷害保険に加入していれば、自分の身を守れますもんね
「そうですね。自転車同士の事故の場合、一方が保険加入者、もう一方は無保険の場合、ケースバイケースですが、ケガを負われた場合には相手側(無保険側)から損害賠償をされないことが考えられます。そのような時に傷害保険は有効です」
ーーもし、自分が自転車事故を起こした場合、どういう対応をしたら良いのでしょう?
「人身事故や物損事故の場合は、自動車事故と同様に警察への届け出が必要です。その後、ご加入の保険会社に事故連絡をしてください。事故の具体的な有無責につきましては、ケースバイケースとなりますが、あくまで法律に則って有無責が判断されます。実務上は判例などをふまえて示談交渉していくことになります」
聞けばきくほど、「保険には入らないと」て思ってしまうと同時に、損害保険が意外と身の回りのカバーをしてくれる場合もあることを知り驚きでした。まずは自分の加入している保険内容を確認しようと思います。皆さんも自転車事故に対して「個人賠償責任特約」が付いている保険に加入しているかどうか確認してみてください。期限が切れていないかもお忘れなく!
(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・東寺 月子)