檻の中で激しく逃げまどい「一般譲渡不可」とされたチワワ 保護後にわかった真の姿は穏やかキャラのお利口さん 優しい家庭に迎えられ幸せの日々
群馬県動物愛護センターの檻の中で、近づく人間を睨みつけていたメスのチワワ・オーロラ。やつれた表情、ぼろぼろの毛並み、そして舌がチョロリと見えていたことから当初は高齢犬に思われていました。
これまでに一度も首輪やリードをつけてもらった様子はなく、外の世界を知らないようでした。センターでは「一般譲渡できない」とされており、こういったワンコは処分対象になることがあります。オーロラもまた例外ではありませんでした。
■怯えるオーロラの目を見て直感
そんなオーロラを知ったのが保護団体・Delacroix Dog Ranch(以下、DDランチ)のボランティアさん。差し伸べられた手に怯えるオーロラでしたが、それを見たボランティアさんは逆に「この子は本当は人間が大好きなのでは」「悪い子ではないのかも」と直感。その瞳から「本当はここにいたくないんだ」という思いを感じ取ったそうです。
「高齢犬だろうが、人馴れが進んでなかろうが、大丈夫。この子ならきっと幸せをつかむことができるはず」と保護。オーロラの第二の犬生を一緒に目指すことにしました。
■極めて穏やかな性格でオヤツを取られてもポカン…
獣医師のもとで健康診断を受け、預かりボランティアさんの家に迎え入れられると、驚きの事実が分かりました。オーロラは推定5~6歳と若いワンコで、社交的で穏やかな性格だったのです。
センターでは逃げまどっていたオーロラも、家庭環境ではすっかり落ち着き、この家にいるジャイアン気質の先住犬にもよく懐きました。そして、おやつを横取りされても「私のおやつ取られちゃった」とポカンとしています。トイレ成功率は脅威の100%。「噛む」という行動が一切なく、お留守番もパーフェクトなお利口さんぶりに皆が驚きました。
■穏やかな性格はどこでも同じ。ついに幸せをゲット
そして、うれしいことに「オーロラを迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。
トライアルに行く前、オーロラはDDランチ代表の家でしばし過ごしましたが、ここでも穏やかな性格は変わらず、他のワンコたちにもすぐ懐き体を寄せ合い一緒にスヤスヤ。「こんなに生活しやすい子なら、新しい家でもきっと大丈夫」という予測通り、オーロラはすぐに里親希望者さんの家に馴染み、後に正式譲渡されました。
現在は優しい飼い主さんのもとで、溺愛される日々を過ごしています。散歩もすっかりマスターして、フカフカなった尻尾をフリフリ歩いているそうです。周囲のワンコを前にガウガウしてしまうこともあるようですが、大好きな飼い主さん、そして今の幸せな生活を守りたいのかもしれませんね。
不器用ながらも一歩ずつ前進するオーロラ。天性の可愛さと社交性で、彼女の犬生はさらに幸せなものとなるでしょう。
(まいどなニュース特約・松田 義人)