「節約のため」食器用洗剤、水で薄めて保管していいの? 菌は? 洗浄力は? メーカーに聞いた
物価高が続き、家庭での節約術を紹介する街頭インタビューや雑誌の特集を目にする機会が増えました。そんな中、引っかかったのがこんな声。「節約のために食器用洗剤は水で薄めて保管しています」。SNS上にも「食器用洗剤を水で割るとかなり節約になる」「親が台所用洗剤を水で薄めて保管してる」といった投稿が複数確認できました。雑菌は。洗浄力に影響は。メーカーに聞きました。
■「洗剤の性能が十分に発揮されない場合も」
食器用洗剤「キュキュット」シリーズなどで知られる、国内最大手の家庭用品メーカー「花王」(本社、東京都中央区)。
担当者に話を聞くと、「水で薄めた液を長時間置くと変質することがありますので、薄めて保管することはおすすめしません」。
水で薄めすぎると洗浄力が落ちる可能性があり、「洗剤の性能が十分に発揮されない場合もありますので、原液のままの使用をおすすめしております」(同社担当者)。
スポンジ除菌やウイルス除去に使用するときも「原液が前提」なのだそう。
使用する洗剤の量は、食器洗いの場合は「ぬれたスポンジ等に適量(1~2ml )とり、軽く泡立てて使用する(料理用小さじ1杯は約5ml)」が目安。スポンジの除菌の場合は「スポンジをよく絞り、約8mlの原液をつけ、まんべんなく浸透させ次に使用するまで置いておく」など。
もし食器洗いの際に、水で薄めた洗剤を使いたいときは、「使用の都度、薄めて使ってください」としています。
■業界団体「希釈液で保存するのは避けて」
他メーカーや業界団体でも同様の呼びかけを行なっています。
ライオンの公式サイトにあるQ&Aでは、「台所用洗剤を水で薄めて保管してもよいですか」の質問に対し、「水で薄めて保管しておくと、細菌が液の中で殖して変質する可能性があるため、薄めて保管するのは避けてください。使用の都度薄めてご使用ください」と回答。
日本石鹸洗剤工業会の公式サイト内にある「お掃除119番」でも次のように説明しています。「台所用洗剤を薄めて保管する方がおりますがこれは避けてください」「希釈用に使用する容器が細菌で汚染されていたり、水道管のジャ口などから細菌が混入すると、変質し、濁ったり変色したり異臭を発生することがあります」「表示にも書かれているように、希釈液で保存するのは避け、使用のつど薄めて使用してください」(日本石鹸洗剤工業会公式サイトから引用)
(まいどなニュース・金井 かおる)