「来週までに頭数を減らさないと…」 動物愛護センター職員の苦悩 死の淵から救われたミックス犬 心を開いて甘えん坊に大変身
群馬県動物愛護センターは収容頭数の上限が少ないセンターです。ここ数年で職員の意識が大きく変わり、引き出しをするための登録団体数も増えたことなどから、近年では犬猫の殺処分数が減少傾向にあります。
しかし、時期によっては収容が重なってしまうこともあり、こういった場面では「一般譲渡が難しい犬猫」から殺処分対象となってしまいます。登録団体の多くは、団体間の垣根を超えて連絡を取り合い「1匹でも多くの命を救えないか」と模索しますが、それでも殺処分の淵に立たされる犬猫もいます。
飼い犬だったメスのミックス犬・お豆さんもそうしたワンコでした。
■次週実施の殺処分対象のワンコだった
センターの職員は「収容頭数の上限を超えてしまっている。心苦しいことだが、来週までに頭数を減らさないといけなくなった」と登録団体に相談しました。
お豆さんは推定7~8歳。どんな経緯で収容されたかは不明ですが、ある時期までは大好きだったであろう飼い主さんの愛情を信じ、そのもとで暮らしていたはずです。それなのにひとりぼっちになり、不安を抱えて過ごした挙げ句に殺処分というのは、あまりにむごすぎます。
そこで立ち上がったのが保護団体・Delacroix Dog Ranch(以下、DDランチ)。お豆さんを引き出し、幸せな「第二の犬生」へつなげることを目指しました。
■ケージの中を嫌がることから外飼いだった可能性
メンバーの家で過ごすことになったお豆さんはケージの中にいるのを嫌がり、一週間ほどは「出して出して!」と訴えるように鳴きました。元の飼い主の家では外飼いだったようにも思われました。
しかし、これからのお豆さんは「第二の犬生」を目指さないといけません。ボランティアはあえて「家庭犬としての日々のルーティン」を教えました。すると、一週間を過ぎた頃から鳴くことをやめ、お利口さんに過ごすようになりました。ただし、この家にいる他のワンコがケージの外で過ごしていると、「なんで私だけケージの中なのよ!」と強く“抗議”します。
こんな主張の強い面もかわいいお豆さんですが、基本的にはお利口さん。散歩も上手で人間に対しては総じてフレンドリー。ケージの外では他のワンコとも遊びたがる明るい性格でした。
■人間をまだ信じてくれている様子
ボランティアは「引き出すことができて本当に良かった。これまで人間に愛されてこなかったからこそ、必ず幸せにつなげたい」と話します。
波乱万丈な犬生を思えば、心がすさんでもおかしくないですが、お豆さんまだ人間を信じてくれている様子です。どんな人にもキラキラした瞳で見つめます。こんなに無垢で愛らしいお豆さんに、近い将来「ずっとのお家」が見つかることを願います。
Delacroix Dog Ranch
https://ddranch.jp/
(まいどなニュース特約・松田 義人)