元猟犬の棄て場・利根川河川敷で保護されたポインター お利口さんが見せた意外な執着と興奮 「すべてかわいい」と話す運命の人と出会った
群馬県内を流れる利根川の河川敷。ここは元猟犬の棄て場として知られ、やせ細ったワンコが過去何度も保護された場所です。
2024年2月、この河川敷で彷徨っていたイングリッシュ・ポインターのメス犬、サティ。後に群馬県動物愛護センターに収容されました。
■元猟犬らしく聞き分けの良い性格
実は2023年の同時期、保護団体のDelacroix Dog Ranch(以下、DDランチ)では全く同じような状況で収容されたイングリッシュ・ポインターのオスを引き出しており、サティとも顔がそっくり。同じ飼い主による遺棄で、きょうだいのようにも思われたサティを引き出すことにしました。
センターにいた頃のサティは、大きな体を檻の柵にぶつけ吠えていました。「大変な性格のワンコかも」と一定の覚悟をしたボランティアさんでした。
しかし、引き出し後に一変。人間に甘える素ぶりを見せる一方、元猟犬らしく聞き分けも良く、他のワンコとの協調性もバッチリ。控えめな一面も見せるお利口さんでした。
■「食べること」「散歩」に対する異常な執着と興奮
ただし、サティが異常に執着したり興奮する場面が2つほどありました。
1つめは「食べることへの異常な執着」。利根川の河川敷で飢えに苦しんだ経験から、食べることに対する執着があり、家の中にある食べ物のありかを熟知。エサをあげると、ものすごい気迫で慌てて食べるため、与え方に注意が必要でした。
もう1つが「散歩への異常な興奮」。ハーネスとリードを人間が手に持っただけで、うれしくて大暴れ。手に負えないほど暴れるため、散歩になかなか出かけられないことが度々ありました。
■優しい里親さんと出会い「ずっとのお家」を掴む
元猟犬らしく従順で控えめ、でもどこかオッチョコチョイなかわいさを持つサティにうれしい知らせが舞い込みました。「うちにおいで」と里親希望者さんから声がかかったのです。
トライアル時にも前述のような異常な執着や興奮を見せるサティでしたが、「その様子がかわいい」と優しい里親希望者さん寛大な心の持ち主でした。後に、この里親希望者さんの家がサティにとっての「ずっとのお家」となり、幸せな第二の犬生を歩んでいくことになりました。
現在、サティはこの家で穏やかに過ごし、相変わらずのお利口さんぶりとかわいすぎるオッチョコチョイぶりで家族を笑顔にしてくれています。これからの犬生は不安のない明るいものであり続けるでしょう。
(まいどなニュース特約・松田 義人)