小中学生のゲーム課金のトラブル、どう防ぐ? 「管理」や「監視」だけじゃない…親が実践すべき「3つの対策」

小中学生のスマホ所持は当たり前の時代になっていますが、スマホゲームでの課金も、子どもたちにとっては一般的なことになっているようです。東京都教育委員会が2023年6月に発表した「児童・生徒のインターネット利用状況調査(2022年度)」によると、ゲームで課金したことがある児童・生徒の割合は、小学校23.7%、中学校31.9%、高等学校39.2%、特別支援学校19.5%となっており、全体では27.4%と約4人に1人の児童生徒に課金経験があるという結果が出ています。

しかし、課金をめぐるトラブルも依然数多く起こっています。例えば以下のようなケースです。

▽ 【事例1】 無自覚な請求で高額請求

小学5年生のE君は、友達から勧められたスマホゲームに夢中になっていました。ゲーム内でキャラクターを強化するために「ガチャ」と呼ばれるシステムを利用していましたが、その過程で、以前父親が登録していたクレジットカードを利用し、自覚なしに課金を繰り返していました。数週間後、E君の両親がクレジットカードの明細を確認すると、30万円もの請求が発覚しました。両親は驚きとともに、どうしてそんなことが起きたのか理解に苦しみました。

▽【事例2】 無断課金による家庭内トラブル

中学2年生のH君は、部活動と勉強の合間にスマホゲームを楽しんでいました。ある日、ゲーム内のアイテムがセール中であることを知り、購入しようとしましたが、親の許可を得ることなく決済を選択し課金をしました。B君の両親は、後日通知された請求額に驚き、B君を厳しく叱責しました。この件をきっかけに、家庭内での信頼関係が大きく揺らぐこととなりました。

■監視で予防できるのか?

この種のトラブルの話になると、「課金できるようにしている親が悪い」「ちゃんと管理してないから親が悪い」という声が多くあがり、親の管理不足といわれます。

確かに、最低限の事は必要なのですが、1人1台スマホになった今、ずっと監視をするというのは難しいでしょう。

多くのご家庭で、子どもが所有する スマートフォンにセキュリティソフトを導入したり、適切な年齢制限やフィルタリングを設定していると思います。もしまだのご家庭は必ず確認してほしいのですが、それとともに課金についてもクレジットカードが設定されていないか、課金ができる状態になっていないかをこの機会にチェックすることをオススメします。保護者所有のスマホでゲームをしている場合は、決済が簡単にできることもあるので、さらに注意が必要です。

「子どもは、クレジットカードの暗証番号を知らないから大丈夫だろう」と思っているのは大間違い。ECサイトなどで買い物をしている時に、横で見ていて暗証番号を知っているということもあります。

保護者が子どものデジタル活動を監視することは基本的な対策です。

■親の課金に対するメッセージ

しかし、ゲームの中には、魅力的なキャラクターやアイテムを手に入れるためにリアルマネーを使う「課金システム」が組み込まれているものも多く、子どもが無意識のうちに多額の費用を費やしてしまうことがあります。このような事態を防ぐために、親としてどのような対策を取るべきか考えてみましょう。

子どもたちは、システムで管理しても親の目をかいくぐって課金しようとするかもしれません。

それにはやはり 「スマホは無料の範囲内で使うのもで、有料のものを勝手に買うのはダメ」というメッセージを繰り返し伝えることが大切です。その際、大切なことは以下の通りです。

▽① 一貫したメッセージ

同じメッセージを何度も繰り返すことで、子どもの心に深く刻み込まれます。「有料はNG、もしどうしても使いたい時は、必ず相談すること」を何度も強調する。一度言ったからいいやではなく、何度も伝えることがポイントです。子どもは時に自分に都合よく「安いからこのくらいならいいかな」とか「これはいいアイテムだから買っても怒られないかな」と解釈して買う事があるからです。

▽② 具体的な例を示す

課金によって多額の請求が発生した実例を話すことで、具体的なリスクを理解させます。

▽③ ゲームの価値観を共有する

ゲーム自体が楽しいものであり、必ずしも課金が必要ではないことを教えます。無料で楽しむ方法を一緒に探すのも良いでしょう。

■「課金は駄目だ」というメッセージを繰り返し伝える

このことを徹底してやってみた保護者のAさん。小5の息子Eくんが、「こんな広告がでてきたけど、ここからは有料だよね」頻繁にとスマホを見せながら話すようになりました。「そうだね。ここからは有料だから課金はだめよ」と伝えているそうです。

子どもがゲーム課金を防ぐためには、監視と教育の両方が不可欠です。技術的な対策を講じつつ、日常的なコミュニケーションを通じて「課金は駄目だ」というメッセージを繰り返し伝えましょう。スマホがなかった時代もお金を使う時は勝手に使わない、これは当たり前のことでした。

親としての役割は、子どもが健全なデジタルライフを送るためのガイドになることであり、信頼できる相談相手となることです。子どもとの信頼関係を築きながら、共に健全なゲーム環境を作り上げていきましょう。

【出典】

東京都教育委員会/令和4年度「児童・生徒のインターネット利用状況調査」

都内公立学校児童・生徒の約1%:約1万2000人などに調査

◆くま ゆうこ ネットいじめ、ハラスメント専門家。株式会社マモル代表取締役社長。自身の強みであるWebマーケティングのノウハウを活かし、 いじめや組織のハラスメントを未然に防ぐシステム「マモレポ」を開発する傍ら、学校コンサルティング、いじめ・ハラスメントのセミナー登壇、執筆を行う。

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