新幹線や飛行機、隣に座られたくないから…「1人で2席分買って、ゆったり座る」はアウト? JRや航空会社に聞いた

新幹線に乗ったら、車窓の景色を楽しみながら1人の時間を過ごしたいけれど、見ず知らずの他人が隣に座っていると落ち着かないという話をよく耳にする。だが、公共の交通機関だから隣の席に他人が座る状況は、どうしても避けられない。ならば隣の分まで切符を買って、誰も座れなくすればいいと考えるのが人情というもの。

はたして、「1人で2席分の切符を買う」ことはできるのか。JR東海、JR西日本、JR九州に聞いた。また航空会社ではこのような要望にどう対応するのか、日本航空と全日空に尋ねた。

■【新幹線】例外規定はなく「1人1席」と決まっている

「1人2座席の予約は承っておりません。また、例外の取り扱いもございません」

このように答えてくれたのは、東海道新幹線を運行するJR東海だ。例外の取り扱いもないとのこと。JR九州からも同じく「おひとりで同一列車の座席を2席購入することはできません」との回答だった。JR西日本からは、その根拠となる規則も示された。

「旅客営業規則第147条第5項により、1人1枚=1席とさせていただいております。2席占有できる例外はございません」

旅客営業規則とは、JRグループの旅客鉄道会社が旅客との運送契約に適用する条件を定めた運送約款のこと。略して「旅規」とも呼ばれる。その第147条に、乗車券の使用条件が規定されており、第5項に1人1席が謳われているのだ。以下、第5項を抜粋する。

   ◇   ◇ 

(乗車券類の使用条件)

第147条

5 同一旅客は、同一区間に対して有効な2枚以上の同種の乗車券類を所持する場合は、当該乗車については、その1枚のみを使用することができる。同一旅客が、同一区間に対し有効な2枚以上の指定券を所持する場合についてまた同じ。

   ◇   ◇ 

つまり、指定席券を2枚買っても、どちらか1枚しか使えないことがはっきり書かれてある。

■【航空会社】事情により2席購入が可能

では、航空会社ではどうだろうか。日本航空(JAL)と全日空(ANA)に聞いてみると、国内線と国際線で区別されているという。

「グローバルスタンダードに則り、国際線航空券の取り扱いを行っているためです。国内線に関しては、各航空会社がグローバルスタンダードに準拠する必要がないため、お客さまにとっての利便性の観点から取り扱いを行っています」(JAL)

グローバルスタンダードとは、世界各国の航空会社における標準のルールのことで、一例として、IATA(International Air Transport Association)で定められたルールがあるという。たとえば「パーソナルスペースの確保をご希望されるお客さまなど、お客さまご自身の都合で2席分のご使用を希望される場合は、ご購入いただければ、使用していただくことが可能です」とのこと。

また国内線では、機内持ち込みサイズを超える手荷物(楽器・絵画・精密機械など)を機内に持ち込む場合や、体が大きいなど身体的な理由で2席以上を使用する場合(普通席のみ)は、特別旅客料金で追加分の座席を購入できるという。

ANAは「機内持ち込みサイズを超える手荷物(楽器・絵画・精密機械など)を機内にお持ち込みになるお客様や、体の大きなお客様など、1名で2席以上の座席が必要なお客様は、国内線は特別旅客料金、国際線はエクストラシートをご購入いただくことで1人2席以上の座席を使用いただくことが可能です」とのこと。

ただし、搭乗しない便の予約を複数取得したり、物理的に搭乗できない便の予約を故意に行ったりするなど、実際の搭乗を目的としない予約行為は禁止としている。

   ◇   ◇

「袖すり合うも他生の縁」、たとえその場限りの出会いでも旅の楽しみのひとつだったが、それを避けようとする人もいる。楽しみ方はそれぞれだが、お互いを思いやって旅を楽しみたいものだ。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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