「安倍さんは台湾の永遠の友達」 元首相の銅像建立に集まった支援金は1500万円 今も絶大な人気の理由は

2022年、奈良市で安倍元総理大臣が銃撃され死亡した事件は7月8日で発生から2年になりました。殺人罪など五つの罪で起訴された山上徹也被告の裁判を前に、公判前整理手続きが行われており、初公判は決まっていません。

事件発生から2カ月半ほどが経過した2022年9月下旬、台湾南部の都市・高雄にある「紅毛港保安堂」という廟には、安倍元首相の銅像が建立されました。製作費は日本円で800万円とされますが、廟の関係者によれば、台湾各地からの支援で廟宛に約1500万円ほどが集まったそうです。紅毛港保安堂を訪ねました。

■安倍元首相が台湾で絶大な支持を得ている理由

台湾人と言っても人々のルーツや政治思想は様々です。筆者の経験では、どんな政治思想を持つ台湾人であっても安倍元首相に対する評価は総じて高い傾向がありました。涙ながらに話す台湾人もいました。

元首相の人気が台湾で非常に高い理由は、主に以下のような行動や発言によるところが大きいとされています。

・台湾で新型コロナウイルスが蔓延した際、アストラゼネカ製ワクチンを420万回分を無償供与した

・中国から台湾産パイナップルの輸入を拒否された際、元首相は「台湾産パイナップル」を持った写真をSNSで公開し、支援を表明した

・事件前年に「台湾有事は日本有事。日米同盟の有事である」と発言。万一の際の援護を主張した

元首相の祖父・岸信介元首相の時代から日台の関係を重視していたことや東日本大震災では物心ともに多大な支援をした台湾に対し、安倍元首相が感謝の思いを持ち続けていたことから、多くの台湾人は安倍元首相を身近に考えているのかもしれません。

■昭恵夫人も訪問、銅像建立に感謝を述べた

廟の関係者は日本語翻訳機を使い、「安倍元首相の台湾での評価」の理由を細やかに教えてくれました。そして「日本人のあなたがここまで来てくれてありがとう」と固い握手を交わしました。

銅像の建立にあたって、安倍元首相の妻・昭恵夫人も感謝を述べ、事件1年後の2023年7月に昭恵夫人はこの廟を訪問しています。

その際、昭恵夫人は「コロナ禍が落ち着いたら、安倍元首相は台湾を訪問する予定だったが、叶わないことをとても残念に思う。常に『台湾のために何ができるか』を考えていた」とも語ったそうです。

日本統治以降の台湾に歩み寄った安倍元首相。銃撃事件は、台湾にとって元首相や日本へのさらなる期待が高まる中での悲劇でした。廟の関係者は「安倍さんは台湾の永遠の友達」として、「これからも大切に銅像を守り抜く」と語りました。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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