中国・深センの羅湖商業城 アジア屈指の偽ブランド問屋ビルからハイブランドの模造品が消えた 有名になり過ぎて当局を刺激?

中国・深圳にはアジア屈指と呼ばれる「偽ブランド問屋ビル」があります。ルイ・ヴィトン、グッチ、シャネルといったハイブランドのコピー品が堂々に販売される様子がSNSなどで拡散。偽物ブランド品の販売は違法行為ですが、中国人の逞しすぎる商売感覚にカルチャーショックを受ける人は多くいたことでしょう。

先日、深圳を訪れた筆者は、偽ブランド問屋ビル・羅湖商業城に立ち寄ってみました。

■偽ブランド問屋ビルなのにコピー品が見当たらない

コピー品が無数に並ぶ「衝撃シーン」が生でー。気持ちが高まる筆者でしたが、どの店でもハイブランドのコピー品が販売しておらず、客もまばらです。一部の問屋の店先では店主が寝ています。

「おかしいな」と問屋1軒1軒をチェック。すると一部の店にはコピー品らしきものが店先にチラホラ並んでおり、なんだか妙な雰囲気です。

■しつこく着いてくるキャッチのオバサンが小声で一言

偽ブランド問屋ビルのエスカレーター付近には、キャッチらしきオバサンが複数おり、そのうちの1人が筆者に近寄ってきました。「今からフェイスケアしないか」と、コピー品とは関係ない勧誘です。断りましたが、オバサンは筆者のそばから離れず、あまりのしつこさに一度ビル外に出たところ、小声で耳打ちしてきました。

「ヴィトン、グッチ5階にある。来てみない?」

■【推測1】YouTubeなどで有名になりすぎて当局が取り締まった説

オバサンの案内で5階へ。倉庫のような場所の奥に連れて行かれ山積みになったハイブランドのコピー品と対面しました。

彼女によれば、最近当局から一部のコピー品問屋に手入れがあり表立ってハイブランドのコピー品を販売できなくなったとのこと。意味不明の「フェイスケア」の誘いは建前で、やはりコピー品をこっそり販売したかったようでした。

オバサンは「絶対に写真を撮るな」と念押しした後、「アンタは何が欲しいの? コレか? コレか?」と全然欲しくないコピー品を次々と投げ出してきました。一つずつ強く拒否し続けると、そのうちオバサンは舌打ちしてキレ気味に。帰ろうとする筆者に対し、最後まで諦めずコピー品を次々と差し出してきましたが、なんとか倉庫から脱出しました。

YouTube動画やSNSなどで偽ブランド問屋ビルが注目されたことが、当局を刺激したのかもしれません。一時的なのか半永久的なのか分かりませんが、ハイブランドのコピー品の表立った販売ができなくなったのではないかと思います。そして、「当局のオジサンたちがよくわからない」ブランドのコピー品に限って、一部店頭で地味に販売されているように思えました。

■【推測2】コピー品が以前ほどは売れなくなった説

香港の女人街にも立ち寄ってみました。ここは中国・深圳から陸路で入れる「偽物市場」として有名です。

ここでは相変わらず堂々とコピー品が並んでいましたが、お世辞にもどの店もにぎわっているとはいえず、にコピー品が売れているのを見かけることはありませんでした。そして驚いたのが、ベースとなるコピー品に、後付けでスヌーピーなどの有名キャラクターをプリントしたり、アップリケを施しているものが多くあったことです。

あくまでも推測ですが、近年、ハイブランドの多くがキャラクター版権とコラボレーションするようになり、また大胆な色使いのアイテムを発表していることを受け、コピー品店が「ハイブランドとキャラの掛け合わせがオシャレ」「派手な掛け合わせがアリなんだ」と早合点。自力でコピー品にキャラクターのアップリケを施したり、全く合わないパイピングを掛け合わせるなどし、なんとか販売に繋げようと涙ぐましい努力をしているように見えました。

■アウトドアブランドのコピー品も

女人街では、ハイブランドのコピー品だに混じり、パタゴニア、カーハート、フェールラーベンのヒット作「カンケンバッグ」のコピー品もありました。ハイブランドを求める人が減り、丈夫でオシャレで比較的安価なアウトドアブランドの商品を求める人が増えたことを示しているように感じました。

価値観の多様化に伴い、以前のような購買意欲をかきたてられなくなったハイブランド。コピー品の世界にもそのまま表れているように感じる旅でした。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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