保護したダックスはハイシニアでクッシング症候群 看取りも覚悟した団体メンバーに届いた吉報 幸せ家族に見初められ笑顔の毎日
埼玉県動物指導センターに飼い犬とおぼしき黒いオスのダックスが収容されました。名前はチャビー。推定10歳ほどでダックスとしてはハイシニアです。
10年前後、チャビーと一緒に過ごした飼い主はどうしたのでしょうか。どんな事情があったのかはわかりませんが、収容時のチャビーは毛が汚れ疲れ切った表情でした。
どういうわけかまん丸と太っており、全体のフォルムは丸太のよう。おしっこを漏らしながら動くので、マナーベルトを着けようとしても太っているせいですぐに外れてしまいます。
■チャビーは「クッシング症候群」を患っていた
後にチャビーを引き出すことにしたのが犬保護団体restartdog LIEN (以下、リアン)。保護後、まずは汚れた毛をまずは丸刈りにしました。
性格はいたって良くむだ吠えなどもありません。緊張しているのか、部屋の隅っこで大人しくしていますが、心を開いてくれさえすればとても良い子であるとメンバーは確信。心配なのがおしっこを垂らしながら歩いてしまうことと太り方。何らかの病気があるからかもしれません。
カット後すぐにチャビーを動物病院へと連れていくと、「クッシング症候群」という診断を受けました。
副腎皮質が過剰に活動し、コルチゾールと呼ばれる内分泌ホルモンを過度に産生する疾患で、結果的に腹部が膨張したり多飲多尿となることがあると言われています。チャビーの「太っている体」「おしっこ垂れ流し」はまさにこの病気のためでした。
■「うちで看取ることになるかもしれないな」
チャビーはこの後クッシング症候群の治療を続ける必要があります。加えて10歳というハイシニアです。
チャビーがお利口さんだったとしても、「迎え入れたい」という里親さんがそうすぐに見つかるとは思えません。時間の経過とともにハードルは高くなることが考えられます。
メンバーは「もしかしたらうちで看取ることになるかもしれないな」と覚悟しました。「うちに来てくれてありがとう」と世話を続けました。
■「この子じゃなくちゃ」という里親希望者さんの申し出が…
その思いは良い意味で裏切られることになりました。「チャビーを迎え入れたい」という申し出があったのです。
聞けば、その人はリアンで里親募集をしているすべてのワンコを見て、「この子が良い」「この子じゃなくちゃダメだ」とチャビーを選んでくれたと言います。
ハイシニアでクッシング症候群の持病であることも承知の上です。クッシング症候群については、症状や医療ケア、そして対応してくれる動物病院まで調べていました。
チャビーはトライアルのために、メンバーの車で3時間かけて里親希望者さんの家に向かいました。到着すると、里親希望者さんが用意してくれていたオモチャでピョンピョン飛び跳ねて楽しそうに過ごしていました。
さらに家の中を探検。キッチンや居室も見て回り、まるで「僕の部屋はどこですか?」と言わんばかりの表情で里親希望者さんを見つめました。そしてチャビーはこの家に迎え入れられることになりました。
現在はたっぷりの愛情を受けつつ、ダイエット中とのこと。1日でも長く幸せな日々が続いてくれることを願うばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)