20代の半数が「子育てに前向きになる年収」は700万円以上 しかし…「そんなに稼いでる人ってどれくらいいるの?」【FPが解説】

みなさんはいくら年収があれば結婚や出産をしようと思いますか。このほど行われた意識調査では、20代男女の半数以上が「世帯年収600万円以上でないと結婚しようと思わない」「世帯年収700万円以上でないと子どもの出産や育児を考えられない」と回答していたそうです。(※SMBCコンシューマーファイナンスが2024年1月に公表した「20代の金銭感覚についての意識調査2024」より/20歳~29歳の男女1000人を対象に実施)

この結果はネットなどで話題となりましたが、20代の半数が子育てに積極的になれると答えた「世帯年収700万円以上」の人たちは、どれくらいいるのでしょうか。

まず結婚後に夫か妻のどちらかが家庭に入る場合で考えてみます。この場合、夫と妻どちらかひとりだけで年収700万円以上が必要ですが、国税庁長官官房企画課が2023年(令和5年)9月に発表した「民間給与実態統計調査-調査結果報告-」によると、2022年(令和4年)の平均給与は男性が563万3千円(平均年齢47.1歳)、女性が313万7千円(平均年齢46.9歳)でした。20代に限定すると男性は20~24歳で291万円、25~29歳で420万円、女性は同順で、253万円、349万円となっていました。

またパーソルキャリア株式会社が提供する求人情報・転職サイトのdoda(デューダ)が2023年12月に公開した「20歳~65歳の平均年収は?平均年収ランキング(年齢・年代別の年収情報)【最新版】」によると、20代で年収が結婚しようと考える600万円を超えている割合は3.8%で、子育てに前向きになる700万円を上回っているのはわずか1.3%でした。

いずれの結果を見ても、20代で個人年収が700万円を超える割合はかなり低いことが分かります。そのため世帯年収700万円以上を確保しようとすると、夫婦の共働きが必須となるでしょう。

また政府も少子化対策として「共働き・共育て」を掲げ、男性の育児休暇を当たり前にしていこうと取り組んでいます。しかし男性の育児休暇取得率を2025年度に50%にするという目標に対して、2022年度は過去最高とはいえ17%でした。政府の今後の取り組みにより「共働き・共育て」環境が整っていくと考えられますが、まだ時間を要しそうです。

このニュースについてファイナンシャルプランナーの篠田彰輝さんに聞きました。

-夫婦片方だけで年収700万円を超えている世帯はどれくらいいるのでしょうか

実際、多くの人のお話を聞いていると、夫婦片方だけの年収で700万円を超えている世帯は非常に少ないです。また、夫婦共働きで世帯年収700万円というケースはありますが、妻が派遣社員やパートだった場合、産休・育休が使えず、一度仕事を辞めざるを得なくなり、子どもの手が離れるまで世帯年収が下がる場合も多々あります。

-では東京都内で住んでいる20代の核家族が、実際に子どもを産み育てるにはどれくらいの収入が必要でしょうか

東京都内は住居費などが高くなるため、さらに高い年収が必要でしょう。2023年10月13日に大和総研が公式サイトで公表した情報によると、2022年に23区内の30代子育て世帯の世帯年収の中央値が986万円となっています。このことから東京23区では世帯年収が1000万円が目安になると考えられます。

(まいどなニュース特約・八幡 康二)

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