【漫画】人気web漫画家がADHDをカミングアウト 特性とうまく付き合いながら楽しく人生を送るには?

「ADHDと上手く付き合って生きる方法」

人気web漫画家のやしろあずきさん(@yashi09)が、注意欠如・多動症(注意欠陥・多動性障害:ADHD)の当事者であることを自身の漫画でカミングアウトしました。

■診断を受けたものの、超ポジティブ!

やしろさんは、学生時代や会社員時代からもの忘れやうっかりミスが多く、人に迷惑をかけてしまうという問題を抱えていました。

そんななか、ADHDのことを知り、その特徴があまりにも自分に当てはまっていたため、病院に行ってみることに。診察の結果、“ADHDの不注意優勢型”という診断を受けました。

しかし、ADHDが発覚しても、漫画で描かれたやしろさんはあっけらかんとしており、非常にポジティブな様子。

実際、診断を受けた時の感想は「やっぱりか~」ぐらいのもので、ショックを受けることもなかったといいます。やしろさんのお母様も「やっぱりねぇ」という反応だったとのこと。

また、診断が出ても、生活上変化したことは特にないといいます。

「その時にはもう自分が得意なこと、自信を持ってできることを任せてくれる環境にいたので、特に毎日が変わることはなかったです」(やしろさん)

ADHDの人のなかには、発想力や創造力に優れ、斬新なアイデアを生み出す能力の高い方も多いといいますが、やしろさんもそのような分野で活躍されています。

また、独立した現在では人を雇い、自分が苦手なことはそれが得意な人に任せることで、カバーしているといいます。

自分自身をありのまま受け入れ、強みの部分は活かす。そのような姿勢が、やしろさんのポジティブさにつながっているのかもしれません。

■特性上困ることは…きちんと対策を!

自身がADHDだと発覚しても、大して気にしていない様子のやしろさん。

しかし、「ADHDだから仕方がない」と開き直るのではなく、ご自身の特性から生じやすい日常や社会生活での困りごとについては、しっかりとカバーできるよう対策をされているといいます。漫画では、その工夫についても紹介されています。

【忘れ防止のためにリマインダーや付箋を利用】

短期記憶が弱く、数分前に言われたことさえ忘れてしまうこともあるというやしろさん。用事がある時は、スマホのリマインダー機能や付箋を活用して、乗り切っているといいます。

特に、やしろさんオススメなのは、LINEのサービスである“リマインくん”。予定を入力しておけば、それを行うべき時間になると通知してくれるという便利な機能です。

ちなみに、このリマインくん、以前にもまいどなニュースで、発達障害関連の記事で紹介したことがありました。多くの人にとって便利なサービスなのはもちろんですが、この特性がある方には有効なツールといえるのかもしれません。

また、その時の都合で、スマホ等が使えない時は、ペンで直接手に予定を書き込んだりすることもあるそうです。

【入念な対策を】

また、ご自身で心掛けていることがあるといいます。それは、「自分を信じない」ということ。

「このくらいのこと忘れないだろう」と思うようなことでも、つい忘れてしまうことがあるやしろさん。そんな自分を知っているからこそ、「忘れる」ことを前提に、異常なほどに対策をし、自分を律しながら日々を過ごしているといいます。

「自分を信じない」とは、一見後ろ向きな表現に思えます。しかし、それは実のところ自分自身をちゃんと分かっているということであり、その意味では前向きな考え方ととらえることもできます。

自分自身がどのような特性をもち、どんなところでつまずきやすいか、自分で理解しておくことが、より良い生き方につながるのかもしれませんね。

■ミスをしても、人生からみればほんのわずかな通過点

今回のやしろさんの漫画では、このように自身がADHDだと診断された経緯や、自分の特性上の問題をカバーし、ポジティブに生きられる秘訣について、ハイテンションに描かれています。

漫画が公開されたX(旧Twitter)のリプ欄にも、たくさんのコメントが寄せられました。

「仕事で上手くギアが入ると威力を発揮するんですが、失速するとツラいです」

「昔、壊滅的な不注意でせっかく入った会社辞めるハメになりましたが、重度のADHDでした」

「検査してないですがたぶんわたしも同じだと思ってます」

「メモ等残すのって大事よな。人間の記憶って当てにならんこと多い」

「スマホ出来てからだいぶ助かってる、スマホのスケジュールマジで有能」

「リマインくん使ってみます」

ADHD当事者や、自身もそうではないかと思われている方からのコメントも多く、ADHDは多くの人にとって、身近な問題であることを感じさせられました。

やしろさんに、詳しくお話をおうかがいしました。

--病院で診断してもらおうと思ったきっかけについて、具体的に教えてください。

やしろさん:さすがに人に迷惑をかけることが多かったのと、ADHDというものを知ってその特徴にあまりにも自分が当てはまっていたからです。もちろん、ADHDではなくただの怠惰な人間という可能性もあるし、実際に診断ができる環境ならばしておいても損はないなと思って診断を決意しました!

--ADHDでありながら、楽しく前向きに生きられる秘訣は、どのようなところにあるのでしょうか?

やしろさん:これは本当に難しいと思うのですが、元々の性格も大きいかと思います。母親からも「自分の好きなように、自信を持って生きていけ、そしてミスをしても死ななければいい」という育てられ方をしてもらっていたので。無論ミスは反省しますが、必要以上に落ち込むようなことはなくこれまでやってこれました。ひとつミスをしても、人生から見るとほんのわずかな通過点だ、と思う事でメンタルを保っている感じです!このように、いい意味でハイパーポジティブ、悪い意味で適当すぎる性格が強みですかね(笑)。

--お母様など、周囲の方々の影響も大きかったのでしょうか?

やしろさん:やはり母の影響は大きいです。特に自分が興味を持ったことや、やってみたいことを自由にやらせてくれたことには感謝しかありません。

また漫画家やクリエイターのなかには、同じような特性を持っている人が多いんです。自然にお互いのミスをカバーしあうような空気もあり、そういう意味で周りにも恵まれていると思います。マジで僕は遅刻しないほうなんですよね。ただ自分が30分遅れたら周りが1時間とか遅れます。どうなってるんでしょうか。

--ところで、漫画のなかで、やしろさんが自分はADHDではないかと思った時、知人から「もしそうなら焼肉3回おごってやるよ」と言われる場面がありますが、本当にご馳走してもらえたのでしょうか?

やしろさん:しっかりおごってもらおうと思ってたのですが、完全に忘れていました。そう、ADHDなので。

  ◇  ◇

やしろさんらしいユーモアもまじえながら、インタビューに答えていただきました。さらに、そんなやしろさんに、同じくADHDを抱えている方々に向けて、アドバイスやメッセージをお願いしました。

「まず、ADHDがあってもそこまで気にしないこと。ADHDだからって諦めるのは早いです!逆にその特性を有利に使える趣味などを見つけて全力でやってみましょう、予想だにしない未来が開ける可能性もあります。

そして次に障害を言い訳には使わないこと。辛かったり嫌な事も多いと思いますが、自分を卑下し続けるとメンタルにもよくないし、周りから人も離れてしまいます。

ADHDはいろいろ生きづらさもありますが、得意な事に関しては普通の人より10倍以上パワーを出せると思っています。好きな趣味、やりたいこと、たくさん経験して自分に向いている何かを探してみるといいと思います!」

熱いエールを送られたやしろさん。ご自身もこの言葉をまさに体現するかのように、ポジティブかつアクティブな人生を歩んでいます。web漫画家としても、自身のブログ『web漫画家やしろあずきの日常』やAmazonのKindleにて無料漫画『やしろあずきマンガ日記集』を公開しているとのこと。

「ちょっとでも興味がありましたらぜひ覗いてみてください!無料で漫画が読めます!無料!素晴らしい!!無料で漫画を読もう!!!!」(やしろさん)

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・竹中 友一(RinToris))

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