元ネタ全部分かりますか?「洋ロック好きがいる」薬品会社のホームページが話題 名盤パロディがあちこちに…社長を取材

とある商社のホームページが、洋楽ロックの名盤ジャケットのパロディになっていて面白いと、Xで話題になっている。偶然ページを見た人が「洋ロック好きが間違いなくいると見た」と紹介し、2万件以上のいいねが集まる反響があった。

思いがけない形でホームページが有名になったのは、福井県福井市の「三和薬品株式会社」。医薬品や工業薬品、指定ごみ袋、紙おむつなど幅広く手がけるが、音楽関係の商材を取り扱っているわけではない。

ホームページを見ると、トップにはビートルズのアルバム「HELP!」のジャケットさながらに「SANWA!」の字が。その下には4人の社員が手を広げてポーズをとっているイラストがある。

事業案内のページでは、薬品部門はビートルズの「Abbey Road」、化成品部門はウィーザーの「The Blue Album」、紙おむつ部門はグリーン・デイの「WARNING」のパロディになっている。会社案内の最後には、社員たちがザ・ビーチ・ボーイズの「Pet Sounds」よろしく動物たちと戯れるイラストも掲載されている。

■なぜ名盤ジャケットのパロディを?

「はい…。単純に僕がめちゃくちゃ好きだから、ということです」。やや照れながら取材にそう答えたのは、同社の仲野智彦社長(42)。高校・大学時代はバンド活動にのめり込んだ。オアシス、Hi-STANDARDなどがドンピシャの世代で、年代や国を問わず様々なロックを聴き漁ったという。社会人になってからも音楽イベントを主催したりDJ活動をしたりと、熱が冷めることはなかった。

2年半前に社長に就任した際、ホームページを一新することに。イラストをふんだんに使って親しみやすい印象のものにしたかったという。たくさんの社員の似顔絵をポップにレイアウトする案として、名盤のパロディを作ることを思いついた。

主催する音楽イベントでかかわりがあったデザイナー清佐祐子さんに社員の写真を送って似顔絵を描いてもらい、デザインも指定。清佐さんも音楽好きのため、仲野さんは「話が早かった」と笑う。人物の配置を忠実に再現し、まるで社員たちがCDジャケットの世界に飛び込んでいるようだ。よく見ると社員たちがゴミ袋や紙おむつといった各部門の製品を持っているなど、細かいところまで練られている。

今回、偶然同社のサイトを見た人がXにスクリーンショットをアップし、大きな反響があった。仲野社長は「こんなに話題にしていただいて驚き。世代で言うと30代後半より上の方がたくさん反応してくださったんでしょうか。同じ音楽を好きな人がこんなにいるなんてうれしいです」と話す。

■「新作」はあのパンクバンド

ちなみに同社のカタログも同様のデザインで、商談がはずむきっかけになることも多いとか。「知らない方からしたら、変な会社だなあって思われかねませんが(笑)」としつつ「銀行の支店長さんとかでちょうど世代の方が増えてきて、かなり話が盛り上がることもある」という。

Xでは「新作」がホームページに追加されることを期待する声もあるが…。「はい、もう準備しているものがあるんです」と仲野社長。今年の新卒・中途入社の社員4名を、70年代結成のパンクバンド・ラモーンズのCDジャケットのパロディで紹介する予定だという。

社長室に2000枚以上のレコードを飾るなど、ロックへの愛が止まらない仲野社長。「今回ホームページを見た音楽好きの人が入社してくれたらうれしいですね」と笑った。

(まいどなニュース・小森 有喜)

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