両目を失明 伸びた爪は肉球に食い込んでいた 棄てられた15歳超の小型犬 余生をせめて穏やかな日々にしてあげたい
福岡県内のとある神社の境内に、推定15歳以上の超シニアの小型犬が棄てられていました。
白濁した両目は失明、歯がないのか常に舌を口から出しています。爪が伸び切って肉球に食い込み、体中の毛には排泄物がこびりつき毛玉だらけで、悪臭を放っています。体を触ってみると、手に当たるのはゴツゴツとした骨ばかり。
後に福岡県動物愛護センターに収容されることになりました。
■繁殖に使われた形跡はなく、おそらくは元飼い犬
福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)では、迷わずこの小型犬を引き出すことに決めました。「ティアラちゃん」という名前をつけ、まずは世話をし、元気を取り戻してくれることを目指しました。
乳腺や乳首などを見てみると、繁殖に使われていたような形跡はなく、元飼い犬と思われました。ボロボロの体から、ひどいネグレクトを受けてここに至っていることだけはよくわかります。
排泄物がこびりついた毛をバリカンでカット。すぐにお風呂に入れてあげました。洗っていても、力が弱く頭をあげることができません。そのうち、お湯の温かさが気持ち良いのか、風呂場で眠ってしまいました。
こんなティアラちゃんの様子に、メンバーは「ここまで弱ったティアラちゃんを棄てるということは『そこで息絶えても良い』と思ったのか」と改めて強い憤りを覚えました。
■両目が見えないことによる独特の動き
ティアラちゃんは抱っこされた経験もない様子で、抱っこしようとするとバタバタと大暴れ。やむを得ず床におろしてあげると、目が見えないため、その場をクルクル回り続けます。
メンバーの家にいる先住犬たちとぶつかることがないよう、サークルの中で過ごしてもらうことにしましたが、この中でもまるで回りながら少しずつ移動し、ようやくベッドにたどりつき就寝しました。
起きている間もクルクルが止まりませんが、回っているところにお皿にエサを入れて口元に持っていくと、ハッとして回るのを止めて食べてくれるという日々です。
■「せめて穏やかな余生を」と里親募集を開始
動物病院での検査結果は、肝不全の疑いがあり、心臓に少しの逆流が見られるとのこと。その年齢からもティアラちゃんの余生は長いものではないと思われます。
はぴねすでは「せめて天寿を全うするその日までは、生まれてきた意味を感じて安心して過ごして欲しい」と今日も献身的に世話を続けています。そして「ティアラちゃんに穏やかな余生を」という思いを引き継いでくれる里親さんの募集もスタートしました。
吠えることもなければ何かを主張することもないティアラちゃん。その最期を迎える日まで安心して、笑顔を見せてくれる日が訪れると良いなと思います。
(まいどなニュース特約・松田 義人)