【漫画】喧嘩しちゃうけど、本当は大好き…おばあちゃんと、きなこ餅で仲直り 心温まるストーリーに広がる共感

幼い子どもにとって祖父母の存在は、両親よりも少し遠くて友達より近しい間柄で、無条件で安心できる場所と感じる人は多いでしょう。漫画『ただいま。おばあちゃん』の作者である枇杷かな子さんも幼い頃、おばあちゃんの優しさに甘えていた時期があったようです。

そんな何気ない日常を描いた漫画がX(旧Twitter)で公開され、読んだ人が懐かしい気持ちになると大きな話題になっています。

いつものようにおばあちゃんの家で過ごしている幼いころの枇杷かな子さんは、何かのきっかけでおばあちゃんに強く当たってしまいます。時間が経つにつれて謝るにも謝れない心境に陥ってしまった枇杷かな子さんは、ふいに“甘いものが食べたいな”と思い、きな粉餅を作ることにしました。

すると、自然な調子でおばあちゃんも「少しおよばれしようかな」と、追加でお餅を焼いてほしいと声を掛けてきたのです。その後、2人でお餅を食べている静かな時間が流れていきます。

おばあちゃんの“あえて何も言わない優しさ”を描いた漫画は読者から「私も隣の家に優しいおばあちゃんがいてくれました」と、自身の幼いころを懐かしむ声が寄せられていました。

ほかにも「枇杷先生の漫画を読むと優しくなれる。人に優しくしようと思える」など、枇杷かな子さんの描くあたたかなエピソードに心を動かされる人は多いようです。

この作品について、作者の枇杷かな子さんに当時の様子を聞いてみました。

ーこの漫画では冒頭、枇杷かな子さまがおばあちゃんに強く当たってしまい怒らせている描写でしたが、原因は何だったのでしょうか?

喧嘩の理由は特におぼえておらず…ただ私は、例えば暑いとかセーターがチクチクするとかそんなことからイライラが募って祖母にあたってしまうことがありました。そんな私を祖母も叱ったり、時には怒って気まずくなったりもしました。

ー枇杷かな子さまが悩んでいるとき、おばあちゃんはいつもどのように声を掛けてくれていたのですか?

悩んでいる時は「どうしたん?」と声をかけてくれていました。でも放っておいてほしいと感じる時は素直に悩みを話せなかったりもしまして。そんな時は果物とか蒸した芋とかをそっと出してくれる祖母でした。

ー逆におばあちゃんが怒ったことで印象に残っているエピソードはありますか?

怒るというより、叱られることはよくありました。大体私が靴を脱ぎ散らかしていたり、絵を描いてクレヨンなどを放置していた時など「ちゃんと片付けなさい!」なんて叱られたものです。

ただ漫画であったように「おばあちゃん嫌い!」なんていうと祖母も怒っていて、子供ながら傷つけること言っちゃったと気まずい気持ちになりました。

ーこの漫画では「お餅」が印象的ですが、おばあちゃんの手料理で思い出に残っているものはありますか?

カレーや茶碗蒸しなどたくさんありますが、祖母は特にぬか漬けを熱心に手入れしていたのでとても思い出深いです。食事の終わりにはほぼ毎回お茶漬けとぬか漬けを食べていました。すごく美味しかったです!

ー最後に「強く当たってしまった当時の自分」に「今の自分」から声を掛けるとしたらどのようなことを伝えたいですか?

当時は当時で漠然とした寂しさも抱えていたので「そんな気持ちもあるよね」と幼い自分自身に言ってあげたいです。祖母にちゃんと謝ることできてなかったなと後悔もたくさんあるので「おばあちゃんにごめんね、大好きだよ」って伝えに行こうと手を繋いで一緒に言いにいきたいなとも思います。

   ◇ ◇ ◇

枇杷かな子さんが描く心温まるエピソードを通じて、多くの人々が優しさや懐かしさを感じることでしょう。また読者が自身の大切な記憶を思い出し、より一層人に優しく接するきっかけとなることを願っています。

(海川 まこと/漫画収集家)

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