ポスター、コスメ、グッズ類 雑誌の付録は閲覧できる? 日本図書館協会に聞いた

図書館で閲覧できる本には専門書、文芸書、絵本などさまざまあって、もちろん雑誌も読むことができる。そこで気になったのは、閲覧室の書架には雑誌の本体が並んでいるけれど、付録と一緒に配架されているところを見たことがないということだ。最近の雑誌には付録が増えてきているが、図書館で付録はどのような扱いになっているのだろうか。希望すれば閲覧できるのか、そもそも保管されているのかなど、いくつかの図書館に聞いてみた。

■統一の基準はなく…

日本図書館協会に尋ねてみると「別冊やポスター、最近ではコスメやグッズ等もあるようですが、こうしたものをどのように取り扱うかは各図書館の提供基準に沿っており、統一した基準はありません」とのこと。

申請すれば付録の閲覧や貸し出しが可能な場合もあるそうだが、DVDやCDは著作権法上の問題があって、貸出をしていない図書館が多いという。たとえば映像が含まれるDVDは、著作権法38条5項の定めにより、貸し出しをする場合は権利者に補償金を支払うことが必要だそうだ。

「付録のDVDについては、すべて映画の著作物といえるとみなされていますので、著作権者の許諾が必要となります。許諾がない場合は図書館では本体である図書、雑誌のみ貸し出しています。CDについては、映像が含まれていなければ貸し出しも可能ですが、一部でも映像が含まれると前述の規定に該当します。1点ずつ図書館が確認する問題が出てきますから、運用の面からも貸し出しをしていない図書館が多いと思います」

貸し出されないとされているDVDやCDの保存や処分については、図書本体と同様、各図書館が基準を設けているため、一概にいえないという。一例として、神戸市立図書館では、事務室内で保存し、希望があれば館内の機器で視聴できるそうだ。

「対応機器の有無や閲覧スペースの関係から、ご覧いただけない場合もあります。保存期限は、本体と同じです」

   ◇   ◇ 

〔参考〕

著作権法

(営利を目的としない上演等)

第三十八条

5 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるもの及び聴覚障害者等の福祉に関する事業を行う者で前条の政令で定めるもの(同条第二号に係るものに限り、営利を目的として当該事業を行うものを除く。)は、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。

   ◇   ◇

■保管・廃棄・活用など対応はさまざま

DVDやCD以外の扱いはどうだろう。国立国会図書館では、原則として「納入された付録は、書庫内で保存しています」という。ただし、食品、植物の種子、電池、化粧品、香料、液体など、保存に適さないものや資料の保存に影響を与える可能性のあるものは、受入時に廃棄するそうだ。

では保管している付録は、利用者が閲覧することはできるのだろうか。

「冊子や別表等の印刷物など、雑誌本体の情報を補完し共に閲覧することが想定されるものは、利用の申請があれば提供しています」

一方で、ポスター、家計簿、手帳、カレンダーなど雑誌本体を補完する情報をもたない印刷物、雑貨、人形、フィギュアなどは、保存していたとしても利用提供はしていないとのことだった。

では、自治体の公立図書館では、どのように扱われているのか。前出の神戸市立図書館では「他自治体での雑誌付録の取扱については詳細を把握しておりませんが、抽選で配布、イベントのプレゼントとして活用、廃棄など、さまざまあるようです。神戸市立図書館では、雑誌本体に貼付できるものはできるだけ貼付して雑誌と併せてご覧いただくようにしております」とのこと。

付録の形体上、貼付が難しいものは、事務室内で保存して「付録も見たい」という希望があった場合に館内で閲覧できるという。

「保存年限を過ぎた雑誌の付録は、基本的に雑誌本体の除籍のタイミングで廃棄となりますが、イベントのプレゼントとして喜ばれそうなもの、図書館の備品として使えそうなものについては、できる限り活用を図るようにしています」

以上は国立国会図書館と公立図書館での扱いだが、民営の図書館ではどう扱われるのかについてもリサーチしてみた。

個人宅や企業、あるいは学校などに本棚1つから設置して、原則として寄贈された図書を活用する「まちライブラリー」という活動がある。1カ所に大きなスペースを構えて大量の図書を扱う、いわゆる「図書館」のイメージから離れるかもしれないが、もちろん雑誌も扱っていることから参考までに尋ねてみた。

「大阪の事例では、付録付きの寄贈本はほとんどありません」としながらも、ハンドメイド雑誌の型紙や、子ども用で切り取りできるようなものがついている図書が寄贈されることがあるそうだ。

「切り取られていないものは、そのまま配架しています。切り取られているものや、利用者が切り取ってしまった場合は、本に袋をつけてそこに入れる対応をします」

ずっと気になっていた、図書館にある雑誌の付録。保管に適さないものが廃棄されてしまうのはやむを得ないが、希望すれば閲覧できることと、図書館によっては保存期間が過ぎた後も何らかの形で活用される場合があることを知って安心した人は多いのではないだろうか。

(まいどなニュース特約・平藤 清刀)

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