東京・江戸川区の動物病院に、1匹のボロボロの猫を連れてきました。ラグドールです。聞けば、ひとりぼっちで彷徨っているところを発見したそうです。体はガリガリで自慢の毛も毛玉だらけで汚れており「なんとか診てあげてくれないか」と言います。

■元飼い猫が極めて高い一方、捜索は出ていなかった

もちろん動物病院では快諾し、すぐに検診することにしました。

幸い重篤な病気はありませんでしたが、「ラグドール」ということは元飼い猫である可能性が極めて高いです。あちこちの捜索情報を調べましたが、該当するものはなく、意図的に棄てられたように感じられました。

仮にそうだった場合、飼い主から棄てられ不安の中で彷徨い続けたラグドールちゃんの気持ちを思うと胸が苦しくなります。しかし、幸いだったのは心ある猫好きさんに救われたこと。

「ここは前向きに」このラグドールちゃんが抱えた辛い過去を忘れるくらいの幸せに繋ぐべく、動物病院の獣医師はここで奮起しました。

■まるでモデルのように変身したラグドールちゃん

まずは自慢のヘアをトリミング。すっかり綺麗になったその毛並みはまるで肖像画。実に優雅で、キャットフードのパッケージに登場しそうな美しさでした。

献身的に世話することに決めましたが、あいにく同時期の院内は保護猫で満員。そこで獣医師の実家にラグドールちゃんの世話を頼むことにしましたが、気がかりがひとつ。それは、大の猫好きの両親がラグドールちゃんを溺愛し、エサを与えて太らせすぎやしないかという懸念でした。

一方、これまで満足な食事も得られなかったラグドールちゃんにしっかりエサをあげてくれ、かわいがってくれればきっと元気になってくれる……獣医師はそう願い、両親の元でしばし世話をしてもらうことになりました。

■家族全員の愛情と世話を受け元気を取り戻してくれた

ラグドールちゃんは獣医師の家族全員からの愛情を受け、後にみるみる元気を取り戻してくれました。そして、家族に抱かれるとゴロゴロ。お腹を出して甘えるそぶりまで見せてくれるようになりました。案の定、体重はちょっとオーバー気味になりましたが、ガリガリよりはずっと良いです。元気になってくれたことを、家族全員で喜びました。

獣医師はもう少しラグドールちゃんの様子を見た後、幸せへと導いてくれる里親さんとのマッチングを目指すことにしています。多くの人たちのたっぷりの愛情を受けたラグドールちゃん。近い将来「本当のずっとの家族」が見つかると良いですね！

（まいどなニュース特約・松田 義人）